「摘発」や「経営破綻」で400→17軒に…〝風前の灯〟な「ストリップ業界」は生き残れるのか
西日本最大級『東洋ショー劇場』摘発の衝撃
’24年11月19日、大阪市北区のストリップ劇場『東洋ショー劇場』の経営者とダンサーら男女計10人が公然わいせつ容疑で逮捕された。 【奇跡の復活】摘発されて閉館の危機に…多くの人に援けられて営業再開したストリップ劇場 観客約60名の前で女性ダンサーの下半身を露出させ、デジタルカメラで撮影させるなどした疑いだ。1985年創業、売上は年間約2億6000万円の「西日本最大級の〝老舗優良劇場〟」の摘発は、ストリップ業界を震撼させた。 「同劇場は近年では外国人客が客の1割を占めるなど、観光スポット化しつつありました。警察は外国人観光客の増加で劇場が観光地化することへの懸念などから、摘発に踏み切ったといいます。’25年の大阪・関西万博を控え、大阪府警は観光客が訪れる歓楽街の浄化に向けて摘発を強化しており、『ある種の〝見せしめ〟的な摘発』ともいわれています」(社会部記者) ’21年4月には、東京・上野にある『シアター上野』が摘発を受け、経営者やダンサーら6人が公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された。こちらは東京オリンピックの開催を目前に控えての浄化作戦の一環とみられている。 ストリップ劇場は最盛期の’70年代には全国に400軒近く存在したともいわれている。だが昭和の終わりとともに衰退の一途を辿り、今や17軒が残るのみ。まさに〝風前の灯火〟といったところだ。 ◆厳しい経営環境に衰退していく業界 とくに’24年は閉館と休業が相次いだ。8月20日には、50年近くの歴史がある埼玉県久喜市の『ライブシアター栗橋』が、経営環境の厳しさにより閉館。「老朽化が限界まで来ているのに、風営法の規制で改装もできない」ことに加え、「コロナ禍が明けても戻らない客足」が、決め手となった。 また、8月22日には東京・新宿の『新宿ニューアート』が、前日の激しい豪雨による停電と水没のため、臨時休館となった。再開の見込みは未定となっている。 業界の衰退の原因は、冒頭に記した歓楽街の浄化や、風営法による厳しい規制で新設・増改築ができず建物の老朽化が進んでいることだ。それにくわえて娯楽や性風俗が増えて多様化したことにある。今はネットで女性の裸が無料で見られる。格安の風俗店で手軽に性欲を発散することができる。「ヌキがないストリップ劇場には行かない」「興味がない」という男性も多い。 そんな中で、経営難に陥った劇場の〝頼みの綱〟となっているのが、クラウドファンディングである。’21年6月から翌’22年2月まで8ヵ月間もの営業停止の行政処分が下された『シアター上野』は〝閉館の危機〟に瀕した。だが、営業停止中の家賃・施設維持費などをクラウドファンディングで支援してもらうことで営業を再開することができた。 愛媛県松山市・道後温泉の『ニュー道後ミュージック』も劇場の修繕のためにクラウドファンディングを活用している。また、’22年4月に火災に遭い臨時休業していた埼玉県蕨市の『蕨ミニ劇場』は、クラウドファンディングを活用した復興プロジェクトが功を奏し、’24年8月に営業を再開。〝奇跡の大復活〟となった。3劇場とも取り巻く状況は厳しいが、諦めずに粘り強く営業を続けているのだ。 【後編】では生駒明氏がこれまでにすでに閉館してしまった劇場のなかから、印象深かったものをピックアップして、その思い出を語っている。 「ストキャバ」や「愛の小部屋」も…風俗ジャーナリストの思い出に残る〝消えたストリップ劇場〟 取材・文・写真:生駒明
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