<強く、前に・21センバツ明徳義塾>戦力分析/上 投手力 エースに安定感、信頼厚く メンタル面に強み、完投力も /高知
第93回選抜高校野球大会の開幕まであと3日に迫った。センバツに出場する明徳義塾は6日に対外試合が解禁されて以降、練習試合を重ねて実戦の感覚を養ってきた。センバツ初戦の相手は東北王者の仙台育英(宮城)。強豪との対戦を控えた明徳義塾の「投手力」「守備力」「攻撃力」をそれぞれ分析する。【北村栞】 高校野球で昔から「春は投手力」という言葉が聞かれるように、センバツでは投手力のあるチームが上位に入りやすいとされる。新チーム発足から日が浅く、夏ほど打撃力向上が見込めないためだ。今年の明徳義塾がセンバツへと続く昨秋の四国大会を制したのも、高い投手力によるところが大きい。 チームの厚い信頼を集めるエース左腕・代木大和投手(2年)は、昨秋の県予選、四国大会で計8試合のうち7試合を完投し、うち4試合で完封した。球速は120キロ~130キロ台前半だが、防御率0・58という抜群の安定感を見せ、失点をわずか4点にとどめた。 好投を支えるのは昨年夏ごろに習得したカットボールだ。直球とほぼ同じ球筋で、打者の手元でわずかに曲がる。昨秋の大会では特に右打者を苦しめ、三振の山を築いた。 さらに特筆すべきは完投力。県予選では193球を投げて日没引き分けとなった決勝を含め、準決勝から決勝2試合の3試合を一人で投げきっている。力任せではないコントロール重視の投球と肩甲骨の柔らかさが連投が利く一つの要因だ。 また、崩れないメンタルの強さも大きな強み。ピンチの場面でも周りを見て積極的に声をかける姿勢は変わらない。加藤愛己捕手(2年)は「どのカウントでも、自分が苦しい場面でも対応ができる」と話す。代木投手が機動力を生かした攻めを展開する仙台育英打線にかき乱されず、冷静に対処できるかが試合のポイントになりそうだ。 昨秋の登板機会は少なかったが、タイプの異なる投手陣が控えているのも心強い。右腕・畑中仁太投手(2年)は、186センチの長身から繰り出す角度の付いた直球と大きく曲がるカーブが特長だ。肩の故障で昨秋の登板は1試合だけだったが、2019年の明治神宮大会で登板するなど大舞台の経験は積んでいる。1年生サイドスロー・矢野勢也投手は公式戦登板はないものの、球威がありテンポ良く三振を積み重ねられる。球数制限のある今大会、エースが崩れた場合に2投手がいかにピンチを切り抜けられるかも重要になってくる。