<センバツ>先輩のグラブ胸に決勝マウンドへ 習志野の飯塚投手
習志野のエース・飯塚脩人投手(3年)の左手の鮮やかな黄色のグラブは、甲子園を夢見てかなわなかった一つ先輩の元エース・佐藤将聖(まさきよ)さん(18)から託されたものだ。「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)。グラブの内側に刺しゅうされた言葉を胸にマウンドに立った。 飯塚投手が公式戦で初登板したのは1年生の秋。緊張で体が硬くなり、球速が伸び悩んだ。「一人で守っていると思うな。打たれても野手を信じろ」。佐藤さんが試合後、アドバイスをくれた。以降、段々と力みが抜け、球速も上がった。その後も積極的に指導を受け、2人で午後10時過ぎまで自主練習をすることもあった。 チームは2011年夏以降、甲子園から遠ざかっていた。昨夏に主戦を担った佐藤さんは西千葉大会直前、「長い冬を越え、甲子園で勝利という花を咲かせる」という決意を込め、自身のグラブに西郷隆盛の言葉を縫い付けた。だが、準決勝で敗れ、その思いは実らなかった。 「自分の気持ちだけでもマウンドに連れて行ってほしい」。今年3月7日の卒業式で、佐藤さんからグラブを受け取った。 「グラブを見ると、一緒に戦っている気持ちになり、心強かった」。今大会、準決勝までの4試合で20回を投げて1失点の本格派右腕は明かす。佐藤さんは専門学校の入学式と重なったため決勝の応援に来られなかったが、地元で試合の行方を見守り、「硬くならず、普段通りの投球を」とエールを送る。【秋丸生帆、加藤佑輔】