目指すなら今?行政書士「外国人を支援」の奥深い魅力 外国人コミュニティーの「縁の下の力持ち」に密着
■在留資格を通じて、子どもの成長を見守る 恩田さんはそんな在留資格申請の取り次ぎを、単に書類仕事として請けるだけではない。 「家庭の中に入って、暮らしに寄り添うのが私のスタイルなんです」 例えば、ある中国人は、「経営・管理」の父と、「家族滞在」のファミリーで暮らしていたそうだ。 「でもお子さんが大学入学を機に、お父さんから『自立しなさい』って言われて『家族滞在』から『留学』に変更して。その後、大学を出て就職するときには『技術・人文知識・国際業務』(専門知識を生かした仕事に就いている外国人が持つ在留資格だ)に切り替えたんです」
在留資格を通して、子どもの成長を家族とともに見守っているのである。 外国人同士が結婚すればどちらかが「家族滞在」になるし、子どもが生まれればその子の在留資格を取得するのも行政書士の仕事だ。日本に長年暮らしているうちに愛着を感じ、ずっと暮らしたいと思った人には永住権の手続きをサポートする。離婚のときはやっぱり在留資格の変更が必要だ。 行政書士はまさに外国人の生活を支える存在なのだが、複雑な案件が舞い込むことも多い。
「インド人のお父さんがシンガポールに転勤になったんです。すると、お父さんありきの在留資格である『家族滞在』の子どもたちは日本にいられなくなってしまいます。でも一家は日本に生活の土台があるし、子どもたちは日本の大学受験が迫っていて。 そこで『特定活動』(ほかの在留資格に該当しない目的で滞在する外国人の受け皿的なもの。ワーキングホリデーとかインターンシップ、国際交流などなど幅広い)にいったん移行して、受験に合格して大学に入ったら『留学』に切り替えたんです」
■単に書類を埋めて申請すればいいわけではない こうして人生そのものに寄り添っていれば、死に向き合うときもある。 「コックをしていたインド人の男性が交通事故で亡くなってしまったんです」 そのままでは妻子は「家族滞在」を失ってしまうが、子どもは日本で生まれ育ち、日本の文化や言葉を身につけて暮らしてきた。インドはルーツではあっても、故郷ではないのだ。そこで恩田さんは入管に働きかけ、「定住者」を取ることができた。就労に制限がなく、安定して日本で生活できる在留資格だ。