遅咲き右腕28歳で栄誉 船迫新人王 サイドスロー転向、プロ指名漏れ… 福島県内の7年間糧に
福島は野球人生の原点―。26日に都内で開かれたプロ野球セ・リーグの最優秀新人賞(新人王)の会見で、巨人の船迫大雅(ふなばさま・ひろまさ)投手(28)は、県内で練習に明け暮れた7年間が飛躍の糧になったと振り返った。聖光学院高、東日本国際大などを経て、26歳で飛び込んだプロの世界で救援の右腕として頭角を現した。さらに力を付け、球界の名だたるピッチャーたちと渡り合う決意で、「日本一に貢献したい」と力強く誓った。 「新人王を取れてうれしい」。報道陣のカメラのまばゆいフラッシュを浴び、紺のスーツに身を包んだ船迫投手は緊張した面持ちで言葉を紡いだ。 福島の話題になると、やや表情を緩めた。父親の勧めで宮城県の中学校を卒業後、聖光学院の門をくぐった。170センチ台前半と投手としては小柄。「入学した頃、周りは体が大きな選手ばかり。やっていけるか不安だった」と当時の心情を吐露した。 転機は高校2年の時に訪れた。「サイドスローにした方が可能性がある」。斎藤智也監督から上手投げを切り替えるよう助言を受けた。投げ込むたびに手応えを感じた。球速が飛躍的に伸び、翌年夏には主戦としてチームを甲子園に導いた。「毎日ミーティングを重ね、技術面だけではなく人として成長することができた」と当時を懐かしんだ。
東日本国際大4年時にプロ志望届を出したが、指名漏れの挫折を味わった。社会人になっても夢を追い続け、2022(令和4)年に巨人からドラフト5位で指名を受けた。26歳でのドラフト指名は球団史上最年長タイだった。 福島で身に付けたサイドスローは、今や巨人軍を支えている。今季は一度も2軍落ちすることなく、同点や僅差など重圧のかかる場面で腕を振り続けた。 遠回りした末につかんだ栄誉。「遅咲きではあるが、自分の姿を見てプロを目指している選手には諦めない気持ちを持ってもらいたい」。母校の後輩たちの姿を思い浮かべながら呼びかけた。 ■「日本一目指す」 船迫投手は会見などで今季を振り返り、抱負を語った。 ―飛躍のシーズンとなった。 「シーズン前、全143試合でのベンチ入りと勝ちパターンで50試合以上投げる目標を立てていた。目標を達成できた部分は自分の中でよく頑張ったかなと思う」 ―今季、印象に残っている試合は。