<独占インタビュー>山本昌、パドレスから臨時コーチを打診されていた
――合理化で言えば、いち早く初動負荷トレーニングを取り入れるなどしてきたが、独特の山本昌科学があったね? アイシング不要とか(笑)。 「アンダーシャツを替えないっていうのもあった(笑)試合中に水も飲まなかった。うがいくらいはするけど、ごくごくは飲まない。汗って2回でかききっちゃう。でもピンチになると汗をかくんだ。もし途中で水分を補給すると汗をかきやすくなって、ランナーもいないのにピンチだと頭の中が勘違いをしてピッチングが変わってしまうんだ。ピンチのときのピッチングになってしまう。だから飲まない」 ーースポーツ科学的には3時間を越える競技で水分補給は必要だろう? 「スポーツ科学は気にしない。自分科学(笑)。自分の感覚のほうが大事だし非科学が好きなのかも」 ――そういう部分も含めて、これまでの野球界の常識をことこどく覆してきた。そして50歳までのプレーは、いろんな問題提起もしたと思う。世代交代。若手起用ばかりがチーム改革だと思われているような傾向があるけれど、ベテランをどう起用するか?の問題もそう。 「場面や状況によるんだと思う。ここはベテランが頼りになるという局面もあるだろうし、シーズンを通して考えたときに、体力のある若い人に任せたほうがいいこともある。例えば、星野監督は、若い立浪を我慢して使い続けた。当時、批判もあったが、実を結んだ。ただ言えることは、今勝てる人、今打つ人を使うということじゃないか。ベテラン、若手ではなく力がある人を使うということ」 ――将来監督となったときには、そういう考え方で指揮を? 「監督? 現時点で、そんな考えはまったく持っていないよ。ピッチャーのことはわかるけど、それ以外ことはまったくわからないからね。ここから勉強をしていきたい」 ――例えば? 「日本シリーズの解説をやらせてもらったけれど、だいたいピッチャーのことなら次が読める。ここは危ない、こう攻めれば、こうなると、ぱっと浮かぶものがあって、ほとんど間違っていない。でも、作戦面やバッターについては、次の展開が、まだぱっと浮かんでこないんだ。野球を見ていて、さっと先を読めるようになってこないとね。幸い来年は仕事で、70、80試合は野球を見させてもらえる。同時に、いろんな人の話を聞いたり、見たりする機会も増やしたいね。先日、ある人と会える機会をもらって、リーダになる人には何が必要かというような話を聞いたんだけど、グラウンド外でも見聞を広め、野球の幅は、もちろんだけど、人間としての幅をもっと広げたい」