「トランプ関税」目前に控えているのに財政乱発…カナダ財務長官、首相に辞表
カナダのクリスティア・フリーランド副首相兼財務長官が16日(現地時間)、電撃辞任した。ドナルド・トランプ米国次期大統領が予告した関税脅威を巡り、ジャスティン・トルドー首相の対応方式に反発したためだ。 フリーランド氏はこの日、X(旧ツイッター)を通じて公開したトルドー首相に送る辞任書簡を通じて「13日、あなた(トルドー首相)は私がこれ以上財務長官として仕事をすること望んでおらず、内閣内の他の職位を提案した」とし「熟慮の結果、辞任することが正直で実行可能な道だという結論に至った」と明らかにした。続いて「カナダのための最善の道に対して2人が相反している」とし、辞任の理由がトルドー首相との葛藤であることを示唆した。 フリーランド氏が反発したのは来年1月20日トランプ次期大統領就任後に起きる関税戦争に対応する方式だ。フリーランド氏は「次期米国政府は25%関税賦課脅威を含めて攻撃的保護主義政策を追求している」とし「これを深刻に受け止める必要がある」と指摘した。あわせて「財政健全性を維持して今後やってくるであろう関税戦争に必要な財源を確保しなければならない」とし「耐えられることもできず、政府が深刻性を認識しているのかどうか国民に疑わせるような高価な政治的策略は避けなければならない」と強調した。 ブルームバーグ通信はフリーランド氏が指摘した「政治的策略」は先月カナダ政府が公開した景気浮揚策だと指摘した。当時、カナダ政府はおもちゃやクリスマスツリーなど特定品目に対して2カ月間販売税をなくし、数百万人のカナダ人に250カナダドル(約2万7000円)相当の小切手を支給すると発表した。この浮揚策には合計60億カナダドルの予算が必要であることが予測された。 フィナンシャル・タイムズ(FT)は「辞任圧力を受けているトルドー首相は数十億ドルの費用がかかる政策で有権者の信頼を回復しようとしたが、フリーランド長官は政府支出を統制すると公言してきた」と伝えた。カナダ政府がこの日公開した2023~2024年度カナダ政府財政赤字規模は619億カナダドルで専門家の予想を上回った。 トルドー首相は後任財務長官に、核心側近で公安省長官のドミニク・ルブラン氏を任命して事態収拾に出た。だが、トルドー首相の政治的危機は強化されるものとみられる。FTは「今年9月新民主党(NDP)が執権自由党の支持を撤回して来年10月に予定された総選挙が前倒しで行われる可能性が高い」と伝えた。 ロイター通信は「フリーランド長官の辞退は2015年就任後トルドー首相が直面した最も大きな危機の一つ」とし「総選挙で野党である保守党に敗北するだろうと予想される中で、核心同盟を失った」と評価した。