侍J撃破・台湾の“南場オーナー”が描く日台野球交流の未来 DeNAから「インスピレーションを」
日本ハムと指導者やチアが交流「日本の皆さんに観戦してほしい」
すでに取り組みは始まっている。富邦は昨秋と今夏、プレミア12でも代表の打撃コーチを務めた高国輝氏を日本ハムに派遣し、コーチ研修を受けさせた。今後も球団同士の友好関係を発展させたいと願っている。その際に是非学びたいと思っているのが本拠地球場の運営、集客ノウハウだ。 「エスコンフィールドは試合のない日でもたくさんの人たちが訪問していますよね。台湾でも広く知られ、たくさんの人たちが球場を訪れてその体験をシェアしています。我々もマーケティングにおける交流を通じ、台湾に旅行で来られる日本の皆さんに、台湾プロ野球を観戦していただきたいと思っているんです」 富邦が本拠地とする台北郊外の新荘球場には今季、日本ハムの「ファイターズガール」が訪れ、人気の台湾チアとの交流も実現した。 「来年も日本ハムさんの春秋のキャンプに、指導者や若手選手を送りたいと思います。台湾と日本の交流は近年ますます盛んになっています。将来的には両球団の交流試合を、台北ならば例えば台北ドームで、もしくは春季キャンプの時期に、私たちのキャンプ地である嘉義、あるいは日本ハムさんのキャンプ地・沖縄で行う、そんな交流を行えたらいいなと思っています」 野球の集客力は、他のスポーツと比べても高い。選手だけでなくファンが互いの国を行き来することで、新たな価値が生まれることもある。 ユニホームに野球帽といういで立ちからわかるように、陳昭如さん自身が野球ファン。「台湾にとって野球は、ナショナルスポーツですからね。私が子どもの頃は国際大会を見ていました。その後王建民がMLBで大活躍した時代があり、私の子どももMLBやNPBのファンです」。代表や選手の海外での健闘が、国内の野球熱に直結することを感覚的に知っている。 昨季は台北ドームの開業もあり、過去にない人気を呈している台湾プロ野球。今回の世界一は、その熱にさらに薪をくべることになる。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori