「ハラーム」って何? 増えるムスリム旅行者受け入れへ食のセミナー
【北海道・札幌】最近増え続けているインバウンド(訪日外国人観光客)はアジア圏からが中心ではありますが、さまざまな文化を持つ観光客が日本を訪れています。そんな中、「さっぽろの食を安心して楽しんでもらうために!ムスリム旅行者受入 『食』のおもてなしセミナー」が、100人以上の食に関わる事業者の参加のもと札幌国際ビル(札幌市中央区)でこのほど開催されました。 【写真】東京五輪2020年に向けて日本国内の“ハラルビジネス”は加速するか
豚肉とアルコールが「ハラーム」
観光大国である北海道・札幌においては、2004(平成16)年度の外国人宿泊者数30万人が2014(平成26)年度では141万6000人になり、10年間で4倍以上に増えています。それだけ、多彩な文化に対応していく必要に迫られているのが現状です。 現在は東アジアからの来札者が多いですが、インドネシアやマレーシアの発展が目覚ましく、成長過程にある東南アジアからの来札者が増えてくると予想されています。東南アジアにはムスリム(イスラム教徒)が多く、特にインドネシアは人口2.5億人のうち90%弱がムスリムという世界最大のムスリム人口を抱えています。 ムスリムは戒律上、食事の文化が日本とは違う部分が多々あります。そのムスリムに安心して札幌の食を楽しんでもらおうと開催されたのが、今回のセミナーです。 セミナーの主催はさっぽろ地域雇用創造協議会。札幌で、新しい価値を創造する人材雇用創出プロジェクトを手掛けている団体です。同協議会では、インドネシアとマレーシアをターゲットとして潜在的市場を掘り起こしていくために、ムスリム旅行者の受け入れ環境の整備を行っています。これまでに、ムスリム向けの札幌味噌ラーメン・ショートケーキ・フロマージュを開発、今回はスープカレー・ジンギスカンを新たに開発しました。 セミナーの前半では、「ムスリム旅行者受け入れのための基礎知識」として、「義務(礼拝・断食など)」「ハラール(合法のもの)」「ハラーム(禁止されたもの)」の違いが紹介されました。ムスリムにとってはハラームの食材は、「豚肉」と「アルコール」です。イスラム教は「ハラールという海にハラームという島が浮いている」と考え方なので、このハラームの食材に気をつけることで、ムスリム旅行者にとって安心な食の提供ができるということです。
その後、ムスリム旅行者受け入れを実践している飲食店の事例の紹介とムスリム向けにオリジナルレシピで開発したスープカレーとジンギスカンが公開されました。注意点としては「ハラール肉(パッケージに「ハラールマーク」がついている)を選ぶ」「醤油はアルコール由来成分が含まれていないものを選ぶ」「コンソメには動物性油脂が含まれていないものを選ぶ」「油は植物性油を選ぶ」などが挙げられました。 参加者は、メモを取りながら熱心に説明に聞き入っていました。協議会によると、多様な文化を受け入れながら札幌ならではの食を提供するという試みを今後も継続していきたいということです。 (ライター・橋場了吾)