獲った量と池に入れた量が違う? シラスウナギをめぐる不可解な実態
この差の理由について、水産庁は、(1)採捕者が採捕数量を知られたくない、面倒などの理由で正確な採捕量を報告していない(2)採捕者が指定出荷先以外へ、より高い価格で販売し、その分を報告していない(3)無許可による採捕 ── の3つの原因を都府県の指摘として明らかにしている。 こうした実態を受けて、今期から採捕の制度をより厳格化している自治体もある。具体的には、とったシラスウナギの保管場所やシラスウナギを指定集荷人に運ぶ時にだれが持っていくのかを許可申請時に求めるなどしている。 もし、申請と異なる保管や持ち運びが発覚すれば、その採捕者への許可は取り消しとなるのだ。密漁に対する警戒も強化されており、警察や海上保安庁などのほか、漁業者などがシラスウナギの漁場を見て回り、不審な採捕者がいないかチェックしている状況だ。シラスウナギ漁をめぐる環境はより厳しさを増していると言える。 採捕組合の責任者からは「採捕者の数を減らすように言われている。採捕者が増えることはもうないだろう」との声も聞かれる。一方で、採捕者と養殖業者を仲介する流通業者の存在などシラスウナギをめぐる流通は不透明さも拭えず、密漁の実態もあまりよくわかっていない。採捕量と池入り量になぜ大きな差が生じているのか?その理由については、水産庁も正確には把握できていないようだ。