「娘が友達と電車に乗ると中づり広告に“不倫”」安藤サクラへの思いを明かす父・レジェンド俳優74歳
「俺がもし認知症になったら」とは口にしない
――お義母さまのお話も出ましたが、認知症は誰でもなる可能性があります。介護側になることもあるわけですけど、ご夫婦でご自身や相手がそうなる可能性についてお話することはありますか? 奥田「年に4~5回は出るね。夫婦喧嘩したりするときに。平和なときは出ないかな。僕からは言ったことないけどね。 和津さんは“私が認知症になったら施設に入れてね”と言っていて、俺はどうなんだろうと思うけれど、役者がそれを口にしちゃダメだと思ってるわけ。役者でも映画監督でも」 ――口にしてはダメ? 奥田「死ぬまで俳優でいたい、死ぬ寸前まで監督したいと思っている人が、“俺がもしそうなったら”なんて口にしちゃダメに決まっています。和津さんがみんなのことを思ってそう言ってくれているのは100も分かるんだけど、僕は言わない。いつかバーンと来るかもしれないけど、僕自身は口にしちゃいけないと思ってます」
結婚当初、1週間で離婚するぞと言われた
――孝蔵さんが、千紗子を亡くなった妻だと思って本音を語るシーンで泣きました。娘には言えない、妻にだけ明かせる気持ちがあるというのは、実際に娘のいる父として共感できますか? 奥田「わかります。あります。血がつながっていると言えないことってある。逆に夫婦は所詮(しょせん)他人だから言えることがある。うちなんか48年くらい一緒にいるけど、“あいつら、1週間で離婚するぞ”と言われて、オリンピックじゃないけど、4年に1度は離婚騒動があった(笑)。でもそれを乗り越えて、いまでは誰より長く一緒にいる。 寄り添い合って助け合うことが必要なのは暗黙の了解だけど、それはお互いが信頼していたからというより、将来に向かって生きようとしていたことと、あとはお互いをリスペクト、尊敬をしているから。それを口に出さなくても分かる。絆もできている。所詮他人のふたりだからこそね。 占い師なんかが“前世も夫婦だった”なんて言ったりするけど、そんなのは当てにならない。でも他人同士が縁で結ばれて結婚したというのは、そこに愛情、想いが成立しているわけだから、娘に言えないことも言える。逆に子どもにはあれこれ言わない。その子の生きる自由を奪いそうになるからね。僕の感覚では自由にさせていたかな」