凡庸な人ほど「二刀流」を目指そう! AIに仕事を奪われないための、これからの生存戦略
生成AI、みなさんは使っていますか? もはや「使っている」と意識していなくても、いつのまにかアプリなどに組み込まれているので、自然と生成AIの恩恵を受けている人の方が多いかもしれません。 筆者は有料版の「ChatGPT-4o」を使っているのですが、アップデートされて受け答えがより自然になり、かつ言葉遣いも丁寧でびっくりしました。なので、「こんないい子を暴走させてはいけない……」と近未来SFのような妄想を膨らませてはいつも敬語で質問し、回答へのお礼も欠かしません(たぶん不要です)。 そんな「生成AI」が私たちの活動をサポートするパートナーになりつつある一方で、これまでヒトがやってきた仕事がAIに置き換えられてしまう、という懸念もあります。教育者の富永雄輔さんは、著書『AIに潰されない 「頭のいい子」の育て方』の中で、AIの台頭と時代の変化について、次のように語っています。 これから十数年のうちに起きる変化は、これまでとは次元の違うものになります。それゆえ、今の自分を良しとしている成功者ほど、対処法を誤り、痛手を負う確率が高いのです。 しかも、その痛手は半端なものではありません。変化のスピードがものすごく速いために、あれよあれよという間に仕事を失い、勝ち組から底辺に転落していく人が続出すると私は踏んでいます。 ――『AIに潰されない 「頭のいい子」の育て方』 富永さんは本書で、AIと人が協働する社会を見越した子育てについて提言していますが、同時に大人たちに対しても、「変化はもうそこですよ!」と強く呼びかけ、正しい危機感の持ち方も説いています。 そこで今回は、富永さん自身も実践する、AIに仕事を奪われないための「掛け算」式の仕事選びについて、本書から特別に一部抜粋してご紹介します!
凡庸な能力の人ほど「掛け算」で伸ばす!
大谷翔平選手が二刀流にこだわる理由について、私は勝手に、彼がそこに相乗効果を見いだしているのだと思っています。「打者でも投手でも通用することを証明したい」などという陳腐なものではなく、「打者と投手の両方をやっているからこそ、どちらも伸びているのだ」と彼自身が確信しているのではないか、と。 実は、こうした感覚こそ、新しい時代を生き抜く重要なカギだと私は考えています。 これまで、人の努力は「足し算」で増えていく時代でした。1か月に10の努力をした人は、2か月後には20の、3か月後には30の実を得てきました。 たとえば職人は、こうしてコツコツと技術を磨いてきたわけです。しかし、これからは、一つのやり方にこだわらず、一つの職業にこだわらず、一つの立場にこだわらず、いくつもの選択肢を生かしながら、「掛け算」で結果を増やしていくことを考える時代です。 1か月に10の努力をした場合、掛け算ならば2か月後には100になります。言ってみればレバレッジをかけられるわけです。 今後、そういう掛け算の働き方をする人たちが多く出てくるはずで、その中で職人気質の足し算にこだわっていれば、どんどん引き離されてしまいます。だから、掛け算はむしろ、大谷選手のような天才ではなく、凡庸な人ほどやっていかねばなりません。 最初から“全体の1パーセント”に入れるような天才の逸材なら、足し算だけでも相当な成果は出せるでしょう。でも、“99パーセント”の凡人の中にいる場合、そこで上のほうに行こうと思ったら、選択肢をたくさん持ち、掛け算で自分を伸ばしていくことが必要です。