冬のボーナスはパーっと使いたい! でも妻が「老後のために貯金して」と言います。みんな、ボーナスをどのように使っているのですか?
冬のボーナスが待ち遠しいですね。「欲しかった時計を買おう! 」「久しぶりに海外旅行がしたい! 」など、楽しい計画を立てている方もいるでしょう。Aさんもボーナスを心待ちにしているのですが、妻が「老後のために貯金して」と言ってきます。「みんな、ボーナスは貯金しているのですか? 」と疑問を感じているようです。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
「先行きが心配なので貯金」という人が多数
世間では賃上げの話が聞こえていますが、今ひとつ実感の有無には個人差があるようです。ですが「ボーナスは増えそう!」と期待は高まっています。最近のボーナスの支給状況は下記の図表1のとおりです。 (図表1)
さて、Aさんの疑問についてです。ボーナスの使い道の調査は各種機関が行っていますが、調査結果を見ると「貯金・預金」の回答がここ数年間1位を独走しています。奥さまと同意見の回答者が多いのです。 「○○のための」と目的がはっきりとした貯金もあれば、“とりあえず貯金しておけば安心”という場合もあります。奥さまの「老後のために貯金して」は後者に近いようにも感じます。最近の物価高や老後資金のことを考えると、「貯金しておけば安心」とみなさんが考えることもうなずけます。
安心して使うための準備
とはいえ、せっかくのボーナスなので使うことも考えたいです。前段階として「貯金しておけば安心」の安心状態を2つのステップで作りたいと思います。 <Step1>半年分の生活費を貯める 病気など不測の事態に備えて3ヶ月~半年分の生活費を貯めておくと安心です。 <Step2>使い道の決まった費用の積立貯金 子どもの教育資金など将来必要になることがはっきりしている費用は、積立方式で貯金します。今すぐに必要な資金ではありませんが、やがて必要になる日に備えて、「ちゃんと貯めている」を可視化することは安心材料になります。 人生の3大資金と呼ばれる(1) 住宅資金、(2) 教育資金、(3) 老後資金は、いずれも一括で準備できるものではありません。地道にコツコツ準備が必要です。 「ちゃんと貯金しているので安心」状態が整備されると、奥さまも安心です。いよいよ欲しいモノやコトにボーナスを使うことを考えましょう。今の時間を楽しむことも大切です。 公的年金にも不安があるし、iDeCoやNISAなど老後資金を貯めることに関心が高まっています。ただ、いざシニア世代になると、欲しかった時計や洋服などへの物欲が薄れ、むしろクローゼットの片づけをしたいという声も聞かれます。 また「海外旅行も長距離移動は体力的にきつく、以前のように楽しめない」という意見もあります。お楽しみの旬の時期を見極めることも大事ということでしょうか。 お金を貯めることは大事です。ですが、そこにばかり意識が集中してしまい、お金を貯めることが何かを得るための手段ではなく、目的になってしまうケースがあります。 「いつの間にかお金がこんなに貯まってしまいました。普通預金のままで放っておくのはもったいないので、運用して増やしたいです」という相談を受けたことがあります。“お金が貯まらない”というご相談が多い中でうらやましい話ですが、「お金を増やして何に使うのか」は未定だそうです。 いつの日か「これが欲しい!」という時に備えるのも一案ですが、「お金がこんなに貯まってしまった」の過程で、欲しいモノやコトを我慢してこなかったか不安がよぎりました。 その昔、お金の神さまと呼ばれた人も「お金は貯めるより使うことのほうが難しい」と名言を残したと記憶しています。“何事もバランスが大事”ということで、Aさんには家族で使い道の協議をすることを提案したいです。 出典 厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等(夏季賞与) 厚生労働省 毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要 執筆者:宮﨑真紀子 ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
ファイナンシャルフィールド編集部