公道で乗れるレーシングバイク! アプリリア「RS660エクストリーマ」の実力とは? イタリア発のスーパースポーツは軽い上に超過激
レーシングバイクのようなたたずまい
国産、インポートを問わず、ラインナップが充実している600cc前後のミドルクラスのバイクですが、なかでも過激な特性を持つスーパースポーツとして知られているのがアプリリアの「RS660」です。 【画像】「えっ!…」これがレーシングバイクのように過激なアプリリアの新作モデルです(27枚) 本記事でフォーカスするのは、そんな「RS660」をさらに軽量化したスペシャルバージョン「RS660エクストリーマ(Extrema)」。果たしてどんなバイクなのでしょうか?
「RS660エクストリーマ」はカーボンサイレンサーを採用したSCプロジェクト製のエキゾーストを搭載するほか、アンダーカウルやフロントフェンダーもカーボン製となっています。 また、レースシーンを思わせるエアロデザインのシングルシートカウルが備わるほか、チェッカーフラッグをあしらった専用グラフィックをまとうなど、サーキット生まれのモデルであることを随所に感じるルックスとなっています。 軽量なカーボンパーツを多用することで、「RS660エクストリーマ」はスタンダードな「RS660」に比べて3kgの軽量化を実現。乾燥重量166kg、装備重量180kgという軽さは、サーキットはもちろんのことストリートでも大きなアドバンテージとなりそうです。 搭載されるエンジンは並列2気筒。アプリリアのフラッグシップモデル「RSV4」に積まれる1100ccV4エンジンの前バンク2気筒分を活かして開発されたパワーユニットで、最高出力は100psを発生します。 足回りは、KYB製の倒立フォークにブレンボ製のラジアルマウントキャリパーを装着。リアのアルミ製スイングアームは湾曲タイプとなっています。またサスペンションは、前後ともプリロードとリバウンドの調整が可能となっています。 現代のスーパースポーツバイクらしく電子制御も充実。ライド・バイ・ワイヤのスロットルシステムを採用するほか、トラクションコントロールや角度調整まで可能なウイリーコントロール、コーナリングABSなどが搭載されています。 走行モードは「コミュート」、「ダイナミック」のほか、サーキットで使用可能な「チャレンジ」や「タイムアタック」モードも設定。パワー感やスロットルレスポンスが変わるほか、トラクションコントロールの介入度合いまで細かく調整できます。 ●荒々しいパワー感ながら扱いやすさも抜群 「RS660エクストリーマ」にまたがってまず感じるのは、その軽さです。 シート高は820mmなので足つき性は決してよくありませんが、車体が軽量なので片足でも安心して支えられます。 スリムな2気筒のバイクで、重心が中央に集まっていることも支えやすさや取り回しのよさにひと役買っているようです。 まずはおだやかな「コミュート」モードで走り出します。エンジン特性は非常にジェントル。レーシーなルックスからは想像できないくらい扱いやすいフィーリングですが、市街地を抜けるとすぐに物足りなくなり、「ダイナミック」モードに切り替えてしまいました。 「ダイナミック」モードでは排気音も変わり、スロットルレスポンスもかなり鋭くなります。軽量な車体に100psというハイパワーエンジンの組み合わせなので、やや警戒しながらスロットルを開けていきましたが、低中回転域から豊かなトルクを発生し、タイトコーナーからの立ち上がりなどもとてもコントローラブルです。これは270度クランクの2気筒エンジンならではの特性といえるでしょう。 少し大きめにスロットルを開けると、強烈なダッシュ力を味わうことができます。しかし、電子制御が素晴らしく、どこかへ飛んでいってしまうような不安感は皆無でした。 車体や足回りの剛性感も高いですが、サスペンションは硬すぎずよく動くので、少し荒れた路面でも緻密なトラクションコントロールと相まって、安心してアクセルを開けられます。 「RS660エクストリーマ」はサーキットで真価を発揮するようなスーパースポーツバイクですが、街乗りやツーリングに出かけてもストレスを感じることはないでしょう。 ミドルクラスのスーパースポーツの中でも、過激な部類に位置づけられるモデルでありながら、意外なほどの扱いやすさを兼備しているところに、アプリリアの電子制御技術の高さを感じました。 サーキットを攻めたいベテランライダーだけでなく、エントリーライダーやツーリングメインのライダーでも受け入れてくれる懐の深さを備えたモデルといえるでしょう。 ●製品仕様 ・価格(消費税込)181万5000円 ・サイズ:全長1995×全幅745mm、 ・ホイールベース:1370mm ・シート高:820mm ・重量:180kg(走行可能状態 燃料90%搭載時) ・エンジン:水冷2気筒DOHC4バルブ ・総排気量:659cc ・最高出力:100ps/1万500rpm ・最大トルク:67Nm/8500rpm
増谷茂樹