【B1クラブ展望/FE名古屋】若いチームを並里成がけん引…“橋渡し役”保岡龍斗にも期待
ファイティングイーグルス名古屋は開幕前から試練続きだった。 昨シーズンからの継続選手は6人のみと大幅にメンバーが入れ変わり、チームの再構築が求められるなか、中心メンバーの1人として期待されたアーロン・ヘンリーがインジュアリーリスト入り。9月頭に行われた「AICHI CENTRAL CUP 2024」でアジア特別枠の曾祥鈞が4~6週間程度のケガを負って開幕に間に合うか微妙な状況に。さらにマシュー・マイヤーがコンディション不良により退団と、多くの想定外に見舞われた。 【動画】天皇杯2次ラウンド 三河vsFE名古屋のフルマッチ映像 ただ、この緊急事態において、日本で10年プレーしているベテランのアイザック・バッツと、バッツの越谷アルファーズ時代の同僚ジャスティン・ハーパーを獲得できたことは傷口を最小限にとどめたと言えよう。 思えば昨シーズンも、メンバーの半数が入れ替わった上に、開幕前に大黒柱のエヴァンスルーク(現島根スサノオマジック)が戦線離脱するなど、前半戦はフルメンバーがそろった試合は数えるほどしかなかった。それでも佐土原遼をはじめ若手選手がステップアップし、チャンピオンシップまであと一歩まで迫った。そういう意味では今シーズンも、堅守速攻のスタイルをベースに、どんな状況でも着実にチームを作り上げる川辺泰三ヘッドコーチの手腕が試されている。 新加入選手のなかで注目はポイントガードの並里成だ。“ファンタジスタ”の異名を持つ35歳は、プレシーズンのすべての試合で先発を任され、持ち味の鋭いドリブル突破や変幻自在なパスで得点機会を演出。天皇杯2次ラウンドのシーホース三河戦ではハーフコートブザービーターを決めて、チームを劇的な逆転勝利に導いた。苦しい状況のなかで、天皇杯2次ラウンドを勝ち抜いたことはチームの結束力を一気に高めたことだろう。このまま勢いに乗って開幕ダッシュを図れれば、若いチームだけに大化けする可能性もある。
■KEY PLAYER/SG・SF #23 保岡龍斗
特別指定選手時代を含め8シーズン所属した秋田ノーザンハピネッツより新加入。ディフェンスとパワフルなドライブを武器に、3x3の日本代表として東京オリンピックにも出場した。 保岡は「自分の一番の持ち味はシュートで、シューターとして評価してくれた」ことが移籍の理由と話す。天皇杯2次ラウンドで3試合平均12.0得点、3ポイントシュート成功率42.1パーセントと、本人が宣言しているとおり「得点でチームをけん引」し、早々に新天地で本領を発揮している。 ロスター14人のうち8人が26歳以下という若い布陣のなかで、29歳の保岡には「若手選手とベテランの橋渡し」の役割も期待される。 文=山田智子
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