外国人が一目見て「奇跡!」と称賛……日本の画期的「介助技術」に込められたスゴ技「まわす」
実演を見学した外国人が、思わず「奇跡だ!」と声を上げた、根津良幸氏の介助技術。その秘密は「まわす」という誰でもできるちょっとした工夫にあった。記事後半ではその「まわす」を活かした介助の手順を、動画も交えて詳しく紹介する。 前編記事『腕力は不要、しかも丸一日つづけても全然平気! 楽にできて腰を傷めない介助「5つのポイント」 』はこちらから
コマのようにぐるりと回転させれば人体は簡単に動く
私が訪れた諸外国でも、そして日本でも、いまだに力まかせの介護が行われており、介助する人(介助者)にも、介助される人(利用者)にも大きな負担となっています。記事前半で触れた通り、介助技術を教えるのが私の仕事ですが、私の技術が日本各地へ、そして海外へ広まって、皆さんの助けになればと願って上梓したのが『写真と動画でわかる! 埼玉医大式力がいらない介助技術大全』でした。 この本の「力に頼らない介助」のポイントを、私は記事の前半で5つにまとめました。おさらいのため、あらためて紹介します。 「引く」「押す」「まわす」「触れる」「支点を変える」 記事の後半では、「まわす」技術とそれを使った手技をひとつご紹介します。 「まわす」といっても、それほど難しいことをするわけではありません。一言でいえば、介助をされる人(利用者)の体がベッドに接する面積をできるだけ小さくして、利用者の体をコマのようにぐるりと回転させるだけです。 たとえば下のイラストは、ベッドからの起き上がり介助の場面から利用者だけを切り取って描いたものです。このときは、利用者の片側の座骨1点だけがベッドについた状態をつくり、そのあと利用者の身体を回転させてベッド上からすっと起こしていきます。 どんなに重いものでも、1点を支点にぐるりと回すだけであれば誰にでもできるはずです。「まわす」はこの原理を応用した技術で、このポイントを忘れなければ、体が小さく非力な人であっても、大柄な利用者を楽々とベッド上から起こしたり、あるいはベッドに寝かせたりすることができます。 ここでは「大柄な人をベッドに寝かせる」介助をかいつまんで紹介しましょう。まず動画で全体をお見せします。そのあと、最も重要な手順をひとつずつご説明します。 【動画】体が大きい人を寝かせる https://youtu.be/cMy845eIWHw