外国人が一目見て「奇跡!」と称賛……日本の画期的「介助技術」に込められたスゴ技「まわす」
【実技解説】体が大きい人を寝かせる介助の手順
私が教えている介助技術のなかには、利用者にベッド上に安全に座っていただく方法もあります。それを紹介すると大変長くなるので本記事では省略し、座ったところから解説します。介助に先立ち、利用者の脚をぴったり閉じてもらい、両腕をお腹の前で交差させておきます。そのあとの手順は以下の通りです。 【1】腕をまわし利用者の肩に触れる 利用者の背中に腕をまわし、中指・薬指で肩に触れます。そのまま軽く体を引き寄せて、枕のほうへ少し傾けます。 【2】膝下から腕を差し入れる あいている腕を手前から利用者の膝下に差し入れます。ここで大切なのは、利用者を抱えようとしないことです。抱えるとそもそも介助できないか、無理をして腰を傷めるかのどちらかになってしまいます。 抱えるのではなく、手首と五指を伸ばした「内腕刀(ないわんとう)」の状態をつくり、前腕を利用者の膝の裏あたりに当てておくだけにするのがポイントとなります。下の写真を見てください。私が指を伸ばしていること、利用者を抱えていないことがハッキリわかるでしょう。 【3】利用者の体を傾けて押す 介助者は、内腕刀で利用者の膝を引き上げて傾け、座骨を片方浮かせます。そして自分の上体を起こしながら、さらに内腕刀を引き上げていきます。 【4】座骨を中心に回転させる 利用者の体が倒れながら片方の座骨を支点に回転し、ベッド上に横になっていきます。最後まで膝と肩にある自分の両腕で支えながら、利用者をベッド上に完全に横たえたあと、手を離します。
根津 良幸(埼玉医科大学客員教授)