王子HD・大王製紙は下方修正…製紙6社、通期予想の全容
製紙6社の2025年3月期連結業績予想が14日出そろい、全社が増収、4社が営業増益を見込む。人件費・物流費の上昇が収益を押し下げるが、価格転嫁やコスト削減で補う。王子ホールディングス(HD)、大王製紙、北越コーポレーションを除く3社が通期業績予想を据え置いた。 王子HDは売上高と各利益段階を下方修正した。売上高は前回公表値比で730億円、営業利益は同250億円下振れする。中国向けパルプ価格の下落や、古紙価格の高止まりが響く。 大王製紙も売上高と各利益段階を下方修正。売上高は同200億円、営業利益で同35億円下振れる。主力の衛生用紙など国内のホーム&パーソナルケア(H&PC)事業は堅調だが、中国事業の構造改革の遅れが足かせとなる。 一方、北越コーポレーションは各利益段階を上方修正した。営業利益は同30億円上振れる見通し。海外市場で、パルプの販売価格が想定を上回ったことなどが寄与する。 日本製紙は増収増益を見込む。経営不振が続いていた豪子会社は構造改革が進展し、赤字幅が縮小する。レンゴーも増収増益を予想。段ボールなど包装関連需要の回復を見込むほか、春に実施した製品価格改定の効果が貢献する。 各社は持続的な成長や利益確保に向け、価格転嫁の浸透・定着などに力を入れる。三菱製紙は「(10月下旬から実施している)製品値上げの効果が11月から現れ始めている」とする。王子HDは28年3月期までの政策保有株の縮減目標を、従来の300億円から700億円に引き上げた。取得した資金は成長投資などに充てる。