土鍋は鍋料理を作るためだけのものじゃない。〈普通の土鍋〉の再発見
「土鍋、使っていますか?」……これは土鍋で作りたい〈絶品お粥〉
毎日の料理の手間や負担が減らせる調理器具があれば、ごはん作りはラクになる、そしてよりおいしくなる! お掃除を自動掃除機に頼るなら、料理も便利な道具を活用しませんか? 【写真で見る】作り置き嫌いの料理人が考える「1週間ずっと美味しい作り置き」のコツ アイデア溢れる料理家としても人気の高い稲田俊輔さんが、おすすめの製品を使った夕ごはんに役立つオリジナルレシピを提案します。忙しい家庭にとって一番惜しいのは「時間」。優秀な調理器具や調理家電で貴重な時間を手に入れる=【お金で解決しよう!】という連載です。 今回からのシリーズは「土鍋」。鍋物にしか使っていない人がほとんどかもしれませんが、稲田さんの新しい提案をぜひご覧ください!
教えてもらうのは……稲田俊輔さん
いなだしゅんすけ/料理人、飲食店プロデューサー。南インド料理店「エリックサウス」総料理長。鹿児島県生まれ、京都大学卒。和食、フレンチ、洋食、インド料理などさまざまなジャンルのメニュー監修や店舗プロデュースを手掛ける。著書に『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店)『チキンカレーultimate21+の攻略法』(講談社)ほか。新刊『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)『ミニマル料理』(柴田書店)は2023年度レシピ大賞を受賞。
いつの間にかすっかり土鍋を使わなくなっていました。ウチのそれは、キッチンの収納棚の奥に、箱に入ったまま何年も眠りっぱなしです。どうしてこうなった? と考えると、そこには2つの複合的な理由がありました。 ひとつ目の理由は、土鍋はほぼ冬場の鍋料理専用だったからです。では今、冬場に鍋をやらなくなったのか? いや、そんなことはありません。むしろ近年は冬に限らず、年がら年中鍋をやっています。なのになぜ土鍋の出番がなくなったのか。それは卓上のコンロが、カセットコンロから卓上IHに代わったから。これがふたつ目の理由です。我が家の食卓にはIHコンロがほぼ出しっぱなしとなっており、そこには土鍋ではなくマイヤーの「ホットポット」が常に置かれています。IHに対応していない我が家の土鍋は、すっかり出番を失ってしまったのです。 こういう人は結構いるのではないでしょうか。そしてここまで完全には土鍋を引退させていなくても、結局のところ、冬場に鍋ものをやる時にしか使わない人が大多数なのではないでしょうか。 しかしある日、僕は数年ぶりに収納棚の奥から土鍋を引っ張り出しました。久しぶりにカセットコンロで鍋をやろうと考えたわけではありません。お粥を炊こうと思ったからです。お粥を炊くのにどうしても土鍋でなければいけない理由はありません。 別に普通の鍋でもお粥はできます。とろとろとごく弱火で長時間煮るので、ル・クルーゼの洒落た鍋なんてぴったりかもしれません。低圧力鍋なら時間も短縮できそうだし、ホットクックで楽をする手もありました。でもなんとなく、そういうことではないような気がしたのです。