解説:中国が台湾周辺で大規模軍事演習、「台湾侵攻」はどの程度差し迫ったものなのか
中国は14日、民主的に統治されている台湾周辺で行った大規模な軍事演習について「分離主義的行為」に対する警告だとした。そのうえで近い将来にさらなる行動が起こり得ると警告している。今回の演習は以前よりも短期に終わったものの、迅速な模擬攻撃や船舶や航空機の展開という点では激しいものだった。中国はこの演習で何を達成しようとしていたのだろうか? <中国の狙いは何か> 中国軍は、この演習は台湾の輸入を支える海上のライフライン封鎖を想定して行ったとしている。 中国軍に詳しい地元メディアの専門家は、その狙いは液化天然ガス(LNG)の荷下ろしを阻止する能力を誇示することにあったと指摘する。こうした戦術は、本格的な侵攻に先立って台湾を孤立させる可能性がある。 だが台湾の公営エネルギー会社は14日、LNGの輸入には影響がないと発表した。 台湾の軍事専門家は次のように話す。 国防研究院 蘇子雲さん 「この演習は、いわゆる懲罰的なものではなく、中国が世界にその野望と政治的目標を示したかったことが最も重要だ。私たちが、この種の中国の軍事行動は70%が政治的であり、30%が軍事的であるというのはそのためだ。ほとんど政治的な演習だ。今回はいわゆる海上検問や封鎖という特別な要素があり、彼らは封鎖能力を実践した。これが台湾が警戒を怠らなかった理由だ」 <間合いを縮める中国> 中国軍が発表した地図には、演習場所として以前よりも台湾に近い海域が示されていた。今回初めて台湾から24海里の接続水域も含まれた。 専門家によると、海上保安機関として世界最大規模の中国海警局も異例の規模で台湾周辺海域の警戒に当たった。台湾当局は、海警局の活用は「グレーゾーン」戦略の一環だとしている。つまり軍事的手段までは至らないものの、中国が主張する台湾海峡の管理・統制の権利を強めることが狙いだ。 <台湾側の反応は> 米台当局は直ちにこの演習を非難した。 だが国防研究員の蘇さんは、この演習は台湾にとって中国軍の隊形や戦術を学ぶ機会であり、将来的にさらなる緊張が生じることにも備えなければならない、と指摘する。 「台湾はまず、各種の対艦ミサイルや防空ミサイルなど防衛力を強化する必要がある。これが最優先事項だ。この状況で中国は武力行使に自信を持てないだろう。言い換えれば、軍事的に悲観的であり続けることによってのみ、本当に平和を維持できるのだ」