囲碁界のサラブレッド・藤沢里菜の優勝なるか ── 会津中央病院杯
ここ数年、女流囲碁界は謝を中心に回っていた。謝が常にタイトルを持っており、そこに挑戦してなんとか謝の牙城を切り崩したい、というのが他の女流棋士たちの想いでもあったのだ。そこに出てきたのが藤沢里菜二段。入段当初から活躍を期待されていたが、特に今年の活躍は目覚ましく、非公式戦ながら女流秀策杯での優勝など実績も残してきた。その藤沢が謝を下し、決勝に進出してきたのである。
藤沢の台頭で世代交代を連想させるが、もちろん他の女流棋士も黙ってはいない。謝の同期で、ライバルでもある奥田あや三段も決勝まで勝ち上がってきた。実力者と称されながら、謝の前に涙を呑んできた奥田三段は初タイトルを心から待ち望んでいることだろう。 女流棋戦で初めての2日制の対局にも注目が集まる。囲碁の三大棋戦、棋聖戦、名人戦、本因坊戦で採用されている2日間かけて戦う対局は、これまで他の棋戦で実現することはなかった。それが会津中央病院杯で初めて採用されたのである。ここにも青葉四段の「これまでなかったことを実現したい」という思いがある。 対局者がどんな思いで次の着手を封じ、その思いが翌日どんな展開を生むのか。 奥田対藤沢による日本一の女流棋士をかけた戦いは、6月26日、27日、福島県会津若松市東山温泉の今昔亭で行われる。 (ライター 王真有子)