「日本の労働力」2035年は384万人不足する!? その背景と必要な対策を専門家が解説
◆副業しやすい社会、AIの活用で対策
吉田:この推計を踏まえて、パーソル総合研究所と中央大学は、何か対策を示しているのでしょうか? 塚越:基本的には2つあります。1つは、働く人や時間を増やす「活躍機会の創出」です。簡単に言えば労働力を増やすということですが、働き方改革で1人の労働時間は増やせません。なので、シニア労働者やパート労働、また副業を希望する労働者などを、時短勤務や隙間時間で働けるような労働市場を整備しようということですね。 もう1つはAIを利用して、人が少なくても仕事が回る「労働生産性の向上」です。これには「人への投資」、つまり研修などを行って労働者のスキルを高めることだったり、新しいテクノロジーを活用して、人が少なくとも回る仕事をしようということです。 まとめると高齢者やパート、副業で働く人が、隙間時間でも働きやすくする環境を作ること。もう1つは個々のスキルアップを応援して、スキルやテクノロジーで人が少なくても仕事が回る環境をつくりましょうということですね。
◆労働者のスキルアップを企業がサポートするのも手
ユージ:この推計を踏まえて、塚越さんは、どんな対策が必要だと思いますか? 塚越:最近だと企業と働く人をつなげる「タイミー」というサービスがありますが、隙間時間を利用した働き方ができるようになってきましたので、こういうところはいいのかなと思います。 一方、労働にはさまざまな種類があります。隙間時間で働けるものは、基本的には高度な技術力を伴わないものが多かったりします。だからこそ、少ない労働者のスキルアップを企業が支援して技術力を上げる手も必要なのかなと思います。非正規労働の扱いが悪かったんじゃないかという話もありますので、その辺りも考えていかないといけません。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年10月23日(水)放送より)