大阪城本丸で「薪能」歴史に残る舞台がよみがえる
大阪城本丸で「薪能」歴史に残る舞台がよみがえる THE PAGE大阪
昨年に続いて今年も「大阪城本丸薪能」が大阪城本丸広場特設舞台で開催される。天守閣を背景に、能楽界の重鎮や若手実力派ら幅広い世代が舞台に立ち、幽玄の世界に誘ってくれる。大坂の陣から400年にあたる今年は、他に類を見ない出演者が勢ぞろいだ。開催期間は9月20日~23日。先日、「大槻能楽堂」(大阪市中央区)で大槻文藏さんと大槻裕一さんが登場して記者会見が行われたが、「能は1回限りの舞台がほとんど、4日間の公演はなかなかないことです」などと意気込みを話した。
能舞台の周囲にかがり火を焚いて演じる
「薪能(たきぎのう)」は、夏場の夜間、能楽堂もしくは野外に臨時に設置された能舞台の周囲にかがり火を焚いて、その中で特に選ばれた演目を演じる能楽だ。 明日の命が保証されない戦国時代の武将たちは、随分と能楽を嗜んだと言われる。とくに豊臣秀吉は、能楽に熱心に取り組んで演じ、新作能を創作したばかりか、遠征には移動式能舞台を製作したという。そんな秀吉のおひざ元、大阪城本丸で歴史に残る舞台が甦る。 能楽界の重鎮から若手実力派能楽師まで多彩な顔ぶれとなっている。4日間の日程と演目、主な出演者は以下。 20日:「翁(おきな)」観世清和、坂口貴信、茂山逸平 、「猩々(しょうじょう)」大槻文藏、大槻裕一、福王知登 21日:「蚊相撲(かずもう)」野村萬斎、高野和憲、中村修一 、「土蜘蛛(つちぐも)」大槻裕一、大槻文藏、福王和幸、野村萬斎 22日:「仏師(ぶっし)」野村太一郎、内藤連 、「安宅(あたか)」大槻文藏、大槻裕一、福王茂十郎 23日:「蝸牛(かぎゅう)」善竹隆平、善竹隆司、善竹忠亮 、「吉野詣(よしのもうで)」大槻文藏、片山九郎右衛門、大槻裕一、福王知登、善竹隆司
能は1回限りの舞台がほとんど4日間の公演なかなかない
会見でまず、大槻裕一さんはこう話した。 「私の方から薪能のお話をさせて頂きます。昨年と今年はちょっと違ったものでして。天守閣の真ん前に昨年、舞台を造りまして、それを今年も使う。人数(客席)はとても少ないんですけども、お客さんも演者も緊張感がある。緊張感のある公演なので、たくさんの方に観て頂きたい。今年は4日間です。能は1回限りの舞台がほとんど、4日間の公演はなかなかないことです。初日の幕開けを家元にして頂くことになりました。そして私が『土蜘蛛』をする。土蜘蛛は中学生、高校生でも入ってきやすい演目です」 さらに「4日間にしようと思ったのは、昨年の公演が反響を頂きましたので、1回だけではもったいないということで、4日間になりました。能楽堂でやっているのとはぜんぜん違う気持ちになる」と、続けた。