純粋ドライビングマシンを選ぶ! ポルシェ911 ノーブルM12 TVRタスカン 6気筒スポーツ比較(2)
フォード・モンデオと共有するV6エンジン
アント・デイ氏が所有するシルバーのM12 GTO-3Rは、今日の3台では1番パワフル。標準では357psだが、ロムチューンで426psへ強化されている。ノーブルの場合、オーナーが独自のチューニングを楽しんでいる例は珍しくない。 ただし、シャシーはオリジナルらしい。20%の強化を受け止められるのか、若干の不安がよぎる。 M12 GTO-3Rは、正直乗り降りしにくい。頭から身体を押し込み、背中を丸めてお尻を座面に降ろし、足を引き込む。レザー張りのバケットシートは心地良い。 ステアリングホイールは、ゲームのコントローラーに似ているかも。可動域が広く、快適な運転姿勢を探せる。フォード由来のスイッチ類が多用され、インテリアは、良くいえば簡素な機能性重視のデザインだ。 ダッシュボードは硬質なプラスティック製で、4枚のメーターが突き出ている。中央側には、独立したブースト計。シンプルだが、人間工学的には悪くない。 キーを捻って、同時期のフォード・モンデオと共有するV6エンジンを始動させる。エグゾーストノートは、996型911へ近い。 フォード由来の6速MTのシフトレバーは、若干ソリッド感が足りないものの、正確にゲートへ収まる。ステアリングホイールは軽く回せ、負担は少ない。路面変化で進路は乱れがちだが、前方視界は広く安心感がある。 乗り心地は、996型とタスカン Sの中間。ゆったり走っていても苦ではない。
純粋なドライビングマシンとして際立つ
しかし、カーブが連続する区間へ飛び込むと、一転して積極的。後継モデルのノーブルM400へ迫るダッシュを披露し、特に中間加速は鋭い。3000rpmを過ぎ、ブースト圧の上昇とともに本領が表出していく。 5000rpmへ達する頃には、速度上昇に圧倒されている。公道では、それ以上回そうという気持ちが薄れるほど。直線的な速さでは、タスカン Sも負けていない。とはいえ、ノーブルのシャシーは別次元の完成度にある。 登場から20年以上が経過したM12 GTO-3Rだが、軽くない車重とバネ下重量から逃れられない現在のスポーツカーと比較しても、動的能力では引けを取らない。驚異的な姿勢制御とグリップ力、シャシーバランスで、今回の3台では圧倒的な勝者だ。 ノーブルは、快く受け入れられるドライバーが限られるかもしれない。スタイリングやインテリアの訴求力ではタスカン Sへ劣ると思うし、実用性と信頼性では、996型911には敵わない。どちらもスポーツカーとして、不満なく楽しい。 それでも、純粋なドライビングマシンとして比べたら? 際立つのはM12 GTO-3Rだ。