聞き込みを軽んじた“初動ミス”がコールドケースを引き起こす…! 20年経って、なお未解決「世田谷一家殺害事件」
「完全に後手に回った」
捜査本部が指紋最優先だった捜査方針の方向修正を図ったのは、久保正行が捜査1課長に就任した後の2005年になってからだ。「初期捜査で入るべき情報が相当抜けている。完全に後手に回った」(捜査幹部)と言う。久保も「1課長の判断は捜査にまともに反映される。だから1課事件は怖い」と明言する。 捜査関係者の間には、科学の捜査力が進歩を続けるのに対し、人の捜査力が低下する状況を懸念する声も目立つ。警察庁刑事局の幹部は「聞き込みの力が落ちている。会話力がないから聞き込み相手のガードを崩せない。防犯カメラがないところで事件が発生すると、たちまちコールドケース(未解決事件)になる」と厳しい。 犯罪捜査規範は、重要犯罪の発生に際して捜査を統一的に、強力に推進する必要がある場合は捜査本部を設置すると規定しており、1995年以降、殺人が絡む事件のうち刑事部長をトップとした捜査本部は全国で2023年までに2562件設置され、解決率は86.1%だ。同年までの10年間を都道府県警別でみると、最多は愛知の36件(解決31件)。次いで警視庁35件(同37件)、大阪28件(同24件)となっている。少なかったのは、島根0件(同1件)、山口1件(同2件)、いずれも2件の秋田(同2件)、鳥取(同2件)、岡山(同3件)、佐賀(同2件)、大分(同2件)だった。 続きは<「うちの母ちゃん返せ!」逮捕前夜にかかってきた遺族の電話は、警察の指示だった――逮捕のためなら遺族も使う捜査指揮官の覚悟と責任>で公開中です
甲斐 竜一朗(共同通信編集委員)