韓国人観光客を迎え入れるときに「絶対NG」な行為とは?「ワサビテロ」等クレームは減少傾向
2024年9月に日本を訪れた外国人旅行者は287万人を超え、月ごとの過去最多を更新した。自動車などに次ぐ外資獲得産業として期待されるインバウンド(訪日客消費)市場において圧倒的な存在感を放つのが、韓国からの観光客だ。 地域性と本場感を求めて大都市から地方都市へと目的地を変える彼らを迎える上での「NG行為」とは。その詳細や今後の課題について、韓国ビジネスに詳しいアジアフューチャー社・松清一平CEOから話を聞いた。(前回)
「過剰ローカライズ」と「欠品」は絶対NG
──「絶対にやってはいけない」ことは、どんな事例がありますか? 「過剰なローカライズ」です。 たとえば「韓国語であいさつしよう」とか「韓国の方のために辛くしておきました」といったケースがたまに起こるんですが、恐縮ながら、はっきり申し上げて“最悪”です。 彼らは、日本の地域性と本場感を体験したくて来ているんです。日本の居酒屋に来たのに「アンニョンハセヨ」なんか聞きたくないですし、日本食を楽しもうとしているのにキムチのことなんか思い出したくないんです。 ──とはいえ、いざ言葉や習慣の違いが問題になったら、どうやって乗り越えたらいいんでしょうか? 日本文化について多くの韓国人が理解しつつある今、どこかのフェーズで説明さえきちんとしておけば、そののままで大丈夫だと思います。 たとえば、十数年前は日本の居酒屋の「お通し」が問題になりがちでした。ですが日本旅行が一般化した現在、すでに韓国国内の日本風居酒屋でも「お通し」が浸透していて、まったく問題にならなくなりました。 レシートに「お通し代」「チャージ料」として明示されていることも影響しています。言葉がわからなくてもグーグル翻訳で何とでもなるので、会計時に不信感が解消されるのです。 ありのまま「いらっしゃいませ」と日本語でお迎えして、必要ならグーグル翻訳を使えばいいんです。無理に韓国に合わせようと気を遣いすぎると、せっかくの地域性や本場感が台無しになってしまいます。 ──こうしたケース以外にも、韓国インバウンド取り込みの際に避けるべきポイントはありますか? 「売り切れ」および「在庫切れ」です。 多くの韓国人観光客は、何ヵ月も前からSNS等でそのグルメやプロダクトの情報を集めているわけです。いざ、それを体験もしくは購入しに来て「ありません」となったら、がっかりどころか不平不満へと発展する可能性もあります。 インバウンド客に対しては、普段から需要のあるものをPRすることをお勧めします。地域性と本物感を求める韓国人観光客は、地元でも人気なコンテンツを好む傾向があります。 PRの際にも「常連にも人気です」と言えば、地域性と本場感を求める彼らのニーズともマッチしますし、常時仕入れができるので売り切れや在庫切れリスクを減らすことができます。 韓国人観光客を狙ったコンテンツをわざわざ作るのではなく、日本人観光客や地元民にも売れている商品を外国人観光客へのPRに適用することが大切です。