オイルマネーで「AI大国」を目指すサウジアラビア、データセンター誘致を推進
米国よりも約12%安く電力を供給できるとサウジアラビア政府関係者
米国のデータセンターの電気代は1キロワット時あたり平均7.8セント(約12円)だが、それより約12%安く電力を供給できるとサウジアラビア政府関係者は主張している。世界最大の石油会社であるサウジアラムコのアミン・ナセルCEOは「(サウジアラビアに)データセンターを建設すれば、世界一安いエネルギーを手に入れることになる」と語った。 ナセルによると、ガスでは1キロワット時あたり4.8セント(約7円)で、再生可能エネルギーでは6.8ドル(約1040円)で電力を供給できるという。「環境への負荷が小さいデータセンターはサウジアラビアで実現する」と語る。 同国の売り込みが成功するかは、2030年までに130ギガワットの再生可能エネルギー設備を建設するという野心的な目標にかかっている。米ブルームバーグ通信のエネルギー関連を専門とするブルームバーグNEFによると、サウジアラビアがこれまでに建設した太陽光発電設備は昨年時点で約2.5ギガワットにとどまる。 AI分野においてサウジアラビアは石油資源の豊富な近隣の湾岸諸国と競うことになるかもしれない。特にアラブ首長国連邦(UAE)は、AI企業のG42(グループ42ホールディング)や1000億ドル(約15兆円)規模の新たなAI投資ファンド、そして中小のAIラボや企業が主導する独自の野心的なAI計画を持っている。 だが、サウジアラビアもUAEも、エヌビディアのような米企業の先端チップへのアクセスで問題に直面している。米政府は、AIに欠かせない計算を実行するGPUが中国に転売されることがないよう、GPUの輸出を規制している。英紙フィナンシャル・タイムズによると、マイクロソフトは中国との協力関係を解消するための取引の一環として、4月にG42に15億ドル(約2290億円)投資した。また、サウジアラビアの研究開発に重点を置く大学のトップはこのほど、中国が米国製のチップにアクセスする可能性のあるプロジェクトの中止を約束したという。