ココイチに勝てる? 吉野家HDが立ち上げた「カレー専門店」に行ってみた 現地で「良く絞り込まれている」と感じたワケ
吉野家ホールディングス(HD)は2024年12月、2つの新業態店をオープンした。から揚げ専門店「でいから」と、カレー専門店「もう~とりこ」だ。牛丼「吉野家」で既にから揚げとカレーを提供している同社だが、今回はそれぞれを専門店として構えた。 【画像】ココイチっぽさを感じた注文方法、店内の様子、メニュー表、食べてみ実際のカレーなど(計10枚) 専門店として出店した背景には、依然として続くから揚げの人気、そしてカレー分野でひた走る「ココイチ」に続きたいという狙いがありそうだ。果たして両業態は、吉野家と「はなまるうどん」に次ぐ「第3の柱」となるのだろうか。
から揚げに加え、おにぎりも充実
から揚げ専門店 でいからは2024年12月19日、横浜市でオープンした。環状4号線と県道45号が交差するロードサイドに店舗があり、ドライブスルーを設けるなど、明らかに自動車客を狙った店舗である。旧吉野家を改装した店舗であり、店内はテーブル席が中心である。 メニュー構成はから揚げ定食がメインで、おにぎりや小鉢に加え、から揚げを1個ずつ追加することも可能だ。「でいから定食」が792円、「タルタル定食」は924円で、その他もから揚げ4個、みそ汁がついて約800~950円という価格帯である。から揚げを1個減らすと110円引き、1個追加すると110円加算するシステムだ。また、ご飯の大盛りは無料。 おにぎりは明太子や炙り鮭、ツナマヨ塩昆布などがあり、価格帯は250~300円程度。定食への追加メニューとして考えると、やや高めの設定だ。おにぎりを食べたい人に向けては、好きなおにぎり2個とから揚げ1個がついた「おにカラセット」(715円)があり、こちらをメインと想定しているのかもしれない。143円の小鉢には、小松菜やおくらのゴマ和えなどがある。 コロナ禍では持ち帰り形式のから揚げ専門店が増えたが、現在はそこまで目にしない。ワタミの「から揚げの天才」も閉店ラッシュが続き、から揚げブームは過ぎ去ったように見える。だが、イートイン形式のから揚げ専門店は健在だ。 「ガスト」は2020年7月から「から好し」との併設店を出店し、現在ではガストのほとんどが併設店となっている。から揚げをメインで食べたい人だけでなく、ちょい足しメニューとしても機能している。「かつや」のアークランドサービスHDが運営するから揚げ専門店「からやま」もチェーン店として定着した。2014年に1号店を出店した後、2020年に100店舗を達成、6月末時点で123店舗を展開する。吉野家も2016年よりから揚げを定番メニューに設定。牛丼に飽きた客を取り込もうとしている。 から揚げが定着した背景には、コストパフォーマンスの良さがあるだろう。ランチ価格が1000円を超えるのも当たり前になった昨今、800円台で満腹感を得られるメニューは、特に男性客にとってありがたい存在だ。堅調なから揚げ店を前に、吉野家はから揚げ専門店に勝機を見出したのではないだろうか。