小国町の地熱発電『わいたモデル』に熱視線【熊本】
テレビ熊本
熊本県内有数の温泉地、阿蘇郡小国町で行われている地熱発電事業が注目を集めています。住民と企業が一体となって地域の活性化を目指す、そのビジネスモデルとは。 豊富な湧出量を誇る温泉。地域のあちこちから上がる湯気。 県内有数の温泉地、小国町の山間部に位置する『わいた温泉郷』です。 ここからほど近い場所に、『わいた地熱発電所』があります。 2015年に運転を開始したこの発電所の事業内容が注目を集めています。 【ふるさと熱電 執行役員 田嶋 亨基 さん】 「通常は企業がその地元の土地や熱源を買って地熱発電を行う、というのが通常の(地熱発電事業)モデルだが、地元の人が事業主体となる発電事業を行っている」 地域住民が主体となった地熱発電事業です。 『わいた温泉郷』では、地熱を活用した事業で地域活性化を図ろうと、住民たちが2011年に『合同会社わいた会』を設立。そこでパートナーになったのが、『ふるさと熱電』でした。 【ふるさと熱電 執行役員 田嶋 亨基 さん】 「最初は地元の温泉、熱に影響があるのではないかという心配もあったが、(住民に)自分たちの発電所であると(認識してもらう)。(発電所の)運営も停止も(住民が)自分たちの手でできる。選択肢を地元の人たちが持っている」 事業主体である地域住民からの委託を受ける形で、発電所の建設や運営などは『ふるさと熱電』が実施。その売電収益は観光客が利用できる蒸し窯や公園の整備に活用されています。 それだけではありません。 【ふるさと熱電 垣内 ひまり さん】 「地熱発電所で出た熱水を地下に戻す前に、このハウスに熱水を通して、バジルとミントを栽培しています」 発電で発生した熱水を配管に通し、ハウス内の室温を15度前後にキープすることで、安定した栽培を実現しています。 【ふるさと熱電 垣内 ひまり さん】 「他の葉物より棚持ち(出荷してからの日持ち)が良かったり、単価が高かったりするので、送料を乗せても収益が取れる作物ということでバジルとミントを(栽培)している」 このハウス栽培によって、地域に新たな雇用も創出しました。 【ふるさと熱電 執行役員 田嶋 亨基 さん】 「わいた第2発電所の建設も現在進めていて、そこでは今の2倍近い売電収益が地元に還元される形で考えている。この売電収入を、これからはわいた地区だけではなく、他の集落や小国町全体の地域活性化にどのようにつなげていくかを地元の人たちと議論している」 地域一体となった地熱発電を通して、その利益を地域に還元する。 『わいたモデル』と呼ばれるこの取り組みは、今後、多くの企業が目指すビジネスモデルの一つになるかもしれません。 住民と一体となって地域課題に向き合う姿勢は、今後の企業に求められるものの一つかもしれませんね。 TKUでは、地方を支える中小企業の経営課題について考えるカンファレンスを、11月13日に開催します。 カンファレンスでは、VTRにも登場したふるさと熱電の田嶋さんも講演を行います。 詳しくは『TKU経営課題』で検索してください。
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