我々が(まだ)Web3ゲームに投資し続けている理由
「Play to Earn」ゲームの登場
しかし、ビデオゲームをしてお金を稼ぐ? それはまったく別の提案だった。これが、「Play to Earn」の明るい希望であり、我々はそれをほとんどの人よりも早く、「ブロックチェーンゲーム」がまだ矛盾した言葉だった頃にいち早く発見した。 2020年8月にリアが米CoinDeskにブロックチェーンゲームについての記事を初めて書いたとき、アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)のDAU(デイリーアクティブユーザー)は500人にも満たず、まだイーサリアムブロックチェーン上で、他の暗号資産と同じUXとオン/オフランプの問題に苦しんでいた。 しかしそれでも、お金を払ってプレイするゲームについて噂が広まると、新規ユーザーの波は止まらなかった。特に、若く、デジタルに精通し、英語も堪能で、銀行口座を持たない人々がほとんどだった。暗号資産のマスアダプションの奇跡を起こすと信じ、我々が2018年に移転したフィリピンではその傾向が顕著だった。 2021年7月のピーク時、アクシーは約300万人のデイリーアクティブユーザーを誇った。ユーザーは主に、東南アジア、ラテンアメリカ、インド、アフリカの新興経済圏出身の、貧しく、あまりスキルを必要としないサービス部門労働者たちだった。まさに、暗号資産に個人的なエンパワーメントを見出す日がいつか来ることを我々が望んでいた人たちである。 このコミュニティはこれまで、可処分所得がないために暗号資産マーケティング担当者に無視されてきたが、ここにきてようやく、合法的に、グローバルな分散型デジタル経済で対等に競争できるようになった。これは我々が予測していた奇跡だったが、ビデオゲームがそのきっかけになるとは夢にも思っていなかった。
アクシーの偉業
ここで重要なのは、アクシーの開発元スカイ・メイビス(Sky Mavis)が、ブロックチェーンを使いやすくしたり、理解しやすくしたりすることなく、この普及の偉業を成し遂げたことだ。 プレイするために必要なNFTを購入する必要があったが(少なくとも初期の頃はそうだった)、参加コストを下げることすらしなかった。その代わりにアクシーは、他に類を見ないWeb3ネイティブの体験を提供することで形勢を一転させた。 開発者やパブリッシャーだけでなく、ゲームのバーチャルエコノミーに実質的な価値を提供した誰もが利益を享受できるように、ゲームを金融化した。そして、人々はそれを心から欲しがり、それを手に入れるためには面倒も乗り越えた。 当時、数え切れないほどの記事でアクシーの異常な成長が取り上げられたが、おそらくその最大の要因は奨学金の台頭だった。これは、アクシーNFTのオーナーが他のプレイヤーにNFTをレンタルし、ゲーム内収益の一部を受け取るというコミッションモデルとして記憶されているだろう。 しかし、多くの人が知らなかったのは、奨学金はスカイ・メイビスの発案ではなかったことだ。NFTの価格高騰とゲーム内の生産性低下という問題に対処するために、アクシーのプレイヤーコミュニティが自分たちのために考案したビジネスモデルで、究極的には、より多くの新規プレイヤーを金融化された楽しみの世界に取り込むためのものだった。奨学金制度は、ゲーム開発者が提供したツールを、必ずしも意図されていたとは言えない方法で活用し、許可なく構築された。 ほとんどのWeb3ゲームは現在、「Free to Play」モデルを導入し、NFTの所有はプレイヤーがゲームを始めるための必須条件ではなくなっている。そして、奨学金制度はいまや、ほとんど不要となっている。 しかし、この状況は、完全オンチェーンゲーム(FOCG)やパーミッションレスのユーザー生成コンテンツ(UGC)など、コンポーザブルな「改造」をめぐるより新しく洗練されたトレンドが、Web3ゲームにおける自由奔放な起業家の創造性を解き放つと何が可能になるかを示す前触れだと、我々は今でも考えている。 FOCGは開発の初期段階であること、進歩が遅いこと、DAUが低いことが批判されているが、我々はこれらのゲームをWeb3の研究開発部門と捉えている。 FOCGがWeb3の基本法則を実験的に組み合わせ、ソウルバウンドトークン(SBT:譲渡不可能なNFT)のような新しいタイプのNFTや、ERC-6551のような新しい標準とDeFi(分散型金融)、DAO(分散型自律組織)などを融合させ、所有権、インセンティブ、ガバナンスをめぐるユニークなトークノミクスを生み出すと同時に、Web2では実現可能どころか、考えもできなかったようなまったく新しいユーザー体験を提供すると信じている。