治る?治らない? 「嚥下障害」かもしれないと思ったら調べたい昨今の「リハビリ事情」
「食事中によくむせる」「食べこぼしが多い」などの症状が、ご自身あるいはご家族に起きている人はいませんか? 「食べる力」は、年齢とともに衰えてきます。自覚がある場合、もしかすると嚥下障害を起こしているのかもしれません。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 嚥下障害(摂食嚥下障害)とは、口からうまく食べられない状態をいいます。嚥下機能の低下は、窒息を起こしやすくするだけでなく、誤嚥性肺炎という、高齢者にもっとも多いタイプの肺炎を招く原因にもなってしまいます。肺炎は日本人の主な死因のひとつで、高齢者にとっては、まさに命にかかわる重大な病気です。 そこで、全8回にわたり、食べる力の維持や嚥下機能の回復を目指すためのヒントをQ&A形式でご紹介します。早めに対処して、食べる喜びを末永く味わっていけるよう、正しい知識を身につけていきましょう。今回は、嚥下障害の検査とリハビリについてご紹介します。 嚥下障害 第2回
Q 嚥下障害は治るのでしょうか?
高齢者の嚥下障害の大半には、加齢が影響しています。嚥下機能が低下した状態から、なんの制限もない食事を3食自分の口から食べ、なんの問題も起こらない状態に戻ることを「治る」というのであれば、治すのは簡単ではありません。 嚥下障害に対しては「治す」というより、それぞれの嚥下機能に合わせ、安全に食べられるようにしていくことを考えます。 嚥下障害があっても口から食べられるようにするための取り組みとして、摂食嚥下リハビリテーション(嚥下リハビリ)があります。 嚥下リハビリの目的は、口から食べて味わう喜びを大切にすることが基本です。 同時に栄養不足に陥らないよう「口からだけ」にこだわりすぎないこと。そして誤嚥や、誤嚥による肺炎をできるだけ防ぐことも重要な目的です。 適切な嚥下リハビリをおこなったうえで、嚥下障害の程度がどのように変化していくか、予想される経過は4つに大別されます。 ● よくなる 脳卒中の急性期にみられる嚥下障害。多くは時間とともに回復します。薬の影響による嚥下障害なら、薬の中止や変更によりよくなることもあります。 ● そのまま維持 脳卒中の慢性期や、腫瘍の手術後の慢性期、持病のない高齢者など。 ● 変動する パーキンソン病などによる場合は、薬の効きぐあいで大きく違います。 ● 悪くなる 神経・筋疾患(ALSなど)によるものは、嚥下リハビリを続けても悪化していく可能性が高いでしょう。