認知症への理解を「注文をまちがえる料理店」開催 平井万紀子さんの思い
9月は世界アルツハイマー月間。認知症を抱える人たちが顧客をもてなす飲食店イベント「注文をまちがえるリストランテ」が23日、京都市内で開催される。認知症による記憶力の低下に伴い、注文をまちがえることがあるかもしれないが、まちがいを受け入れ、まちがえることをともに楽しむ。認知症への理解を深める新しい試みだ。主宰する任意団体「まぁいいかlaboきょうと」代表、平井万紀子さんに意気込みを聞いた。 【動画】認知症を抱える人たちが注文を受けた料理をテーブルへ運ぶ
きっかけは母の「働きたい、もっと働きたい」という言葉
会場は大丸京都店のファミリー食堂。昭和世代の高齢者や家族に懐かしい場所を選んだ。午後3時から6時までの3時間、「注文をまちがえるリストランテ」を展開。10人ほどのキャストと呼ばれる認知症の人たちが、サポートスタッフの助けを借りながら約100人の顧客をもてなす。予約は必要なく、通常の食券制で利用できるため、飛び込み客も歓迎だ。 昨年9月、京都市内のホテルで第1回を開催。キャストが注文を聞いて料理を運ぶうちに顧客との交流が生まれた。キャストのまちがいを顧客がさりげなくカバーするなど、会場は和やかな雰囲気に。複数のメディアが取材し、社会的な関心を呼んだ。 主宰するのは京都市在住で、任意団体「まぁいいかlaboきょうと」の代表を務める平井万紀子さん。一昨年、東京で始まった「注文をまちがえる料理店」プロジェクトに共感し、京都で同じモデルのイベント開催を名乗り出た。活動は9月開催の本格的なリストランテ企画にとどまらない。 「認知症の人たちには住み慣れた地元の理解が大きな支えになります。地域密着を重視し、京都各地で飲食店の協力を得て、カフェ方式での開催を月1回ペースで積み重ねています。毎回できるだけ地元で暮らす認知症の人たちにキャストとして働いていただくことを心がけています」(平井さん) キャストの募集や顧客向け開催告知、提供する料理や飲み物の確保、テーブルを彩るメニュー表の作成。平井さんはボランティアスタッフや家族とともに手作り感満載で本番に臨む。活動を始めるきっかけは、認知症を患う母、晏子(やすこ)さんの言葉だった。 「働きたい、もっと働きたい」