プロ1年目のオランダで躍動する19歳・長田澪が強豪フェイエノールトを完封! U-20ドイツ代表でも主軸を張る守護神の言葉にみる“日本と欧州の違い”【現地発】
「U-20なんて報道されない。本当にたまに記者が来る」
サッカー大国ドイツの未来を担うタレントたち。そんな彼らのことをドイツ人はどのように見守っているのだろうか? 「U-20なんて報道されない。本当にたまに記者が来る。今回のフランス戦も、ほとんど誰も知らないと思います。 もちろんユーロ予選になると勝たなきゃいけないというのはありますし、すごい覚悟で監督、選手は挑んでいますけど、ただ、メディアから『勝たなきゃいけない』とか、『なんでこの選手を呼ばないんだ』というのはほとんどないですね。ファンからもプレッシャーを掛けられない。そこには『選手たちはまだ若いんだから、(勝負にこだわらず)やらしときゃいいじゃん』みたいな精神があるじゃないでしょうか。なかには『またユーロの本戦に行けないのかよ』とか口酸っぱく言う人もいるんですが、それもすごく少数だと思います。だから、あまりプレッシャーは掛かりませんね」 要するに、自分たちの成長にフォーカスできる環境ということだろうか? 「でもユーロ予選になったら...」 ――国を背負っている? 「いや、選手自身が予選を突破したいですからね。ユーロ本大会に行けば注目されるし、もっといい相手と試合ができるし、もっとステップアップできるし。でもそれはあくまで自分のため。他の誰かのために戦っているわけじゃない。僕にとって(強調しながら)“世代別代表”はそういう感覚です」 U-20エリートリーグという大会がある。これはUEFA管轄の大会ではなく、欧州8か国の有志によって開かれている非公認のハイレベルな大会だ。昨年11月、U-20ドイツ代表はルーマニア戦(1-0)、イングランド戦(2-3)と戦ったが、長田はフォレンダムに残ってKNVBカップでプレーした。 「その前のリーグ戦、対スパルタ(1-4)で僕の調子が悪くって、『このままじゃ、俺は次のリーグ戦で試合に出れないな』と危機感を感じて、フォレンダムのカップ戦に出ることにした。そのためU-20ドイツ代表をドタキャンする形となり、監督からすごく怒られました。そのまま話し合って和解し、今回の代表活動ではすごく良くしてもらいました。代表に行っても、クラブで出られなくなったらまったく意味がありませんからね。 今回、フランスと試合をしましたが、すでにA代表に行った選手もいますので『スゲエな』と思うことはもうありませんが、やはりレベルは高く、同世代のトッププレーヤーとやっている気がします。一度クラブから離れて代表に参加したことでリフレッシュできました」 そんな話をしている傍らをフェイエノールトのアルネ・スロット監督が「ナイスゲーム!」と長田の肩を叩きながら、声をかけて行った。 取材・文●中田 徹
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