『西園寺さんは家事をしない』胸のモヤモヤが抑えきれない松村北斗 太田莉菜が物語の鍵に
“偽家族”+“仮彼氏”という新形態のお試し運用が始まった『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)第7話。西園寺一妃(松本若菜)が急遽ニューヨークへ出張に行くことになり、家でも職場でも西園寺さん不在の中、アプリのエラーが見つかり楠見俊直(松村北斗/SixTONES)はその対応に追われる。突然のトラブルに対して、先読みしてそれぞれの部署のメンバーにやるべきことを指示出しする楠見の采配はお見事だった。 【写真】プリクラを撮る楠見(松村北斗)、ルカ(倉田瑛茉)、横井(津田健次郎) しかし、思うように作業が進んでいないメンバーも現れ、周囲に疲労が見え始めた頃にカズト横井(津田健次郎)のパウンドケーキの差し入れが配られ、張り詰めた空気が少し緩み新たな風が吹く。 さらにトラブル対応が終わらず娘の保育園へのお迎え時間を可能な限り遅らせようとする楠見の代わりに、ルカ(倉田瑛茉)のお迎え代行を横井と会社のメンバーが名乗り出てくれる。会社の人にはシングルファザーであることさえ隠していた当初の楠見からは想像できない景色が目の前に広がっていることに、彼自身が言葉を失いながらそのありがたみを噛みしめ感激している姿が印象的だった。 最初は“偽家族”のみならず“仮彼氏”までもが加わる展開に全くついていけない様子の楠見だったが、すっかり横井やその他の社員にも懐くルカの姿を見ると「足踏みしてるのは自分だけなのかもな」ということに気づく。 自ら課してしまった“こうあるべき”や“普通”みたいなものに囚われすぎて自身で選択肢を狭めてしまうよりも、頭で難しく考えすぎずまずはやってみる、人に頼ってみるというスタンスの変化が楠見の中で見られた。図らずしも西園寺さんの不在が、楠見と横井とルカの連携を密にし、“偽家族+仮彼氏”という関係性の中で互いに助け合うフォーメーションや心地いい距離感を手探りで掴み始める。頼り先が複数あるというのは精神衛生上も大切なことだ。最近、妻・瑠衣(松井愛莉)のことを思い出すことが増えたという楠見だが、彼もようやくそんな時間を持つことができるようになったということなのだろう。 さらに、この西園寺さん抜きの生活は彼に「西園寺さんという存在の大きさ」を痛感させ、「家でも仕事場でも西園寺さんがいないだけでこんなに余裕がなくなるんだな」ということに気づかされたようだ。それだけ楠見の中で彼女のことが特別な存在に育っていることを実感する時間にもなったようだ。 瑠衣が亡くなってから、ルカの子育てにいっぱいいっぱいで次の恋どころではなかった楠見が瑠衣のことを思い出すようになり、当時“モヤモヤ”は恋の証と教わった記憶も蘇り始める。 出張中も西園寺さんを癒すために横井と楠見が一緒に遊びに出掛けてルカと3人でプリクラを撮ったり。テレビ電話で、ルカの寝顔を映したり。出張後の西園寺さんをもてなすために2人して一緒にキッチンに立ち料理を作り、その食事を4人で食卓を囲みながら食べている姿は尊くなんだかこちらまで頼もしく、温かい気持ちにさせられた。 そして第7話では、新キャラが登場する。英語が話せないながらニューヨーク出張でプレゼンを見事成功させた西園寺さんの元には集中した英語での問い合わせについて、通訳として入ってくれピンチを救ってくれた橘エリサ(太田莉菜)。楠見と瑠衣の大学時代の同級生だった。 そしてこのエリサが「レスQ」のコンサル業務を担うことも明かされた。西園寺さんに「本当は少し好きだったよ」という気持ちを打ち明けられ、胸のモヤモヤが抑えきれない様子の楠見に、エリサという旧友が加わることでどんな変化がもたらされるのか。“仮彼氏”の「仮」を取ろうとしている西園寺さんも、エリサが楠見と親そうにしているのを目の当たりに、自身の本音に気づくにだろうか。
佳香(かこ)