給料を「2万円」上乗せでグループ企業への出向を命じられた友人。在籍出向にはよいことも多いのでしょうか?
会社に在籍したまま、グループ企業や取引のある企業へ出向する「在籍出向」。コロナ禍では、大小を問わずさまざまな企業で在籍出向に取り組む事例があったようです。なかには、給料を上乗せし、グループ企業へ出向を命じられることもあるでしょう。グループ企業とはいえ、新しい職場への異動となるため、心配する方もいるでしょう。 そこで今回は、在籍出向の目的やメリットとあわせて、給与はどうなるかについても調べてみました。自身が勤める会社でも在籍出向を活用されるケースも考えられるため、命じられた場合の対応を考えておくことも大切です。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
在籍出向とは? 目的やメリット
厚生労働省の「在籍型出向『基本がわかる』ハンドブック(第2版)」によると、在籍出向とは「出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、出向先企業に一定期間継続して勤務すること」です。主な目的には、以下のようなものがあります。 ・労働者を離職させるのではなく、関係会社で雇用機会を確保する ・経営指導、技術指導を実施する ・職業能力開発の一環として行う ・企業グループ内の人事交流の一環として行う 特にコロナ禍では、宿泊業・旅行業・飲食サービス業などが大きな影響を受けて、売り上げの減少や雇用過剰の問題を抱えることもあったでしょう。そこで従業員の雇用を維持するために、異業種の企業への出向を命じ、コロナの影響がおさまってから自社へ戻ってこられるようにした事例が増えたようです。厚生労働省が実施したアンケート調査によると、在籍出向には以下のようなメリットがあります。 【出向元企業が受けるメリット】 ・出向労働者の労働意欲の維持・向上につながるため(63%) ・出向労働者のキャリア形成・能力開発につながるため(59%)など 【出向先企業が受けるメリット】 ・人手不足が解消され自社の従業員の業務負担を軽減できるため(75%) ・社会人としての基礎スキルや職務に必要な職業能力を持った人材を確保できるため(52%) 【出向労働者が受けるメリット】 ・出向先での新しい仕事の経験がキャリアアップ・能力開発につながった(57%) ・出向元での雇用が維持されているので安心して働くことができた(46%)