税理士が1億2700万円の脱税指南の疑い 大阪国税局が告発
顧問先の2社に計約1億2700万円の脱税を指南したとして、大阪国税局が、箱谷茂廣税理士(63)=大阪市平野区=を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発したことがわかった。箱谷税理士は2社の不正所得の一部を報酬として受け取り、税務申告もしていなかったという。 脱税指南を受けたとされる空調設備工事会社「金田空調設備」(大阪府寝屋川市)と金田秀之・元社長(51)、土質・地質測量調査会社「興陽ボーリング」(大阪市城東区、清算中)と池田伸二・元社長(62)も、箱谷税理士とともに法人税法違反容疑などで告発された。 金田空調設備は2022年5月期までの3年間に、所得約1億8700万円を隠して約7900万円を脱税した疑い、興陽ボーリングは22年4月期までの3年間に、所得約1億3700万円を隠して約4800万円を脱税した疑いがある。 関係者によると、箱谷税理士は11年ごろから、「納税額を安くしたい」という顧問先の会社に対し、別の顧問先会社への架空外注費を計上して、申告所得を圧縮する手口を示していたという。20年ごろからは、脱税容疑で告発された2社を含む顧問先約10社に、同様の税逃れの手口を指南していたとみられる。 また、箱谷税理士から脱税の一部を指南されていた顧問先の解体工事会社「ヒラタ工業」(大阪市東淀川区)と平田壮司・元社長(49)も法人税法違反容疑などで告発された。22年8月期までの3年間に約3億5100万円の所得を隠し、約1億2千万円を脱税した疑いがある。 箱谷税理士に対し、事務所を通じて取材を申し込んだが、回答がなかった。(市田隆)
朝日新聞社