<咲き誇れ!センバツ広陵>「勝つことより大切なもの」胸に 三次 中学生に野球教室 OBの細川さん /広島
◇教え子の選手にエール 広陵高校野球部OBの細川猛さん(45)は三次市でグラブの修繕などをするスポーツ用品店を営みながら、野球教室で中学生を指導する。野球部で学んだ「甲子園で勝つことよりも大切なもの」を胸に、地域の野球少年を育て、18日開幕のセンバツのメンバーも送り出した。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 1997年に卒業した細川さんは「地域の野球をサポートしたい」との思いから、2016年、実家の建材店の事務所内に「細川スポーツ」を開店した。 用具販売のほか、グラブの修繕や、新品のグラブの皮を柔らかくして伸ばし、一人一人の手の形に合わせる型付けの作業を行う。修理に出されるグラブは形や擦り減った場所が異なり、それぞれ体の動かし方や力の入れ方が違うと気付いた。広陵部員にアドバイスすることもある。 販売店の横には、バッティングケージがあり、小中学生らが放課後に利用。中学の野球部を引退した3年生を対象にした教室「細川塾」も開き、高校に進学するまでの間の練習場所になっている。 広陵のいずれも2年の山口大樹投手、松村悠叶選手、木原和也選手も教室に通った。中学の時から体の使い方がうまかった山口投手は放課後、5キロのランニングの後、バッティングケージで打ち込んでいたという。昨年末、帰省時に店を訪れ、増量やけがの予防に取り組んでいることを報告してくれた。「近所のやんちゃ坊主が鍛えられて立派になった」と感じた。 細川さんも年末はいつも母校のグラウンドに出向く。スパイクがきれいに並べられ、グラブもピカピカに手入れしてある様子に「お世話になっている人や道具への感謝の気持ちを大切にする」という教えが受け継がれていると感じる。 広陵が自分にとってそうであるように、地域の野球少年にとって教室が「帰ったら温かく迎えてくれる場所」でありたい。センバツに出場する選手には「コツコツ積み重ねれば成果が出ると信じて、甲子園で力を出し切ってほしい」とエールを送る。【武市智菜実】