サッカー・アビスパ福岡を退任する「シゲさん」、チームの一体感を重視しJ1定着に導く
シーズン終盤を迎えたJ1リーグで、クラブの歴史を築いてきた指揮官が、今季限りで退任することが決まった。歩みと功績を振り返る。 【動画】ルヴァン杯優勝のアビスパ福岡が祝勝会
「ルヴァン杯」制し初タイトル
2020年、当時J2だった福岡の指揮官に就任した長谷部茂利監督。その年にJ1昇格を決めると、クラブ最長となる5シーズンにわたって率いた。昨年はYBCルヴァン杯を制して初タイトルをもたらし、J1とJ2を行き来していた「エレベータークラブ」をJ1に定着させた。
最も重視したのはチームの「一体感」。ピッチでは厳しい規律を求め、序列を決めずに調子のいい選手を積極的に起用し、チームの士気を保った。選手たちからは「シゲさん」の愛称で呼ばれ、親しみやすい人柄も信頼関係につながった。
柳田伸明強化部長はそんな指揮官を、「勝ち点を持っている監督」と評する。守備重視のスタイルを監督自ら、「理想としているサッカーとは違う」と話すが、06、11、16年とJ1に昇格しながら、いずれも1シーズンで降格したクラブの「5年周期」のジンクスを、手堅い戦いで打ち破った。
さらなる飛躍を目指した今季、J1で上位争いに絡めず、「会社もトップを代えたらガラリと上り調子になることがある。自分が離れることで、またクラブが成長モードに入ってもらえたらいい」と退任を決意した。実直な仕事ぶりを貫いた姿勢は必ずやクラブの財産となるだろう。(緒方裕明)