[プリンスリーグ関東1部]ともに選手権予選優勝から中2日、抽選会翌日に90分間の激闘。矢板中央vs帝京は2-2ドロー
[11.19 プリンスリーグ関東1部第10節 矢板中央高 2-2 帝京高 矢板中央高校東泉G] 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 選手権出場校対決はドロー。19日、延期されていた高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2024 関東1部第10節の矢板中央高(栃木)対帝京高(東京)戦が栃木県矢板市の矢板中央高校東泉グラウンドで行われ、2-2で引き分けた。 ともに今月16日の選手権予選決勝で勝利し、矢板中央は2年連続、帝京は15年ぶりの全国大会出場を決定。そこから中2日、前日には全国大会の組み合わせ抽選会とタイトなスケジュールの中で試合は開催された。 ホームの矢板中央はプリンスリーグ関東1部で暫定4位。この試合に勝てば、プレミアリーグプレーオフ圏内の同3位・浦和ユースと勝ち点で並ぶという重要な一戦だった。MF平野巧(2年)が累積警告で出場停止だったが、U-18日本代表GK藤間広希(3年)、DF佐藤快風主将(3年)、永井健慎(2年)、小倉煌平(3年)、MF田中晴喜(3年)、外山瑛人(3年)、渡部嶺斗(3年)、山村瞳輝(3年)、井内哲心(3年)、FW堀内凰希(3年)、加藤神人(3年)と選手権予選決勝と9名が同じ先発だった。 一方、リーグ6位の帝京は怪我を抱える選手に代わり、トレーニングでアピールをした選手が起用されるなど選手権予選決勝の先発から4名を変更。GK尾崎克蔵(3年)、DF永野太一(2年)、ラビーニ未蘭(3年)、畑中叶空(3年)、U-18日本代表の田所莉旺(3年)、MF加賀屋翼(2年)、砂押大翔主将(3年)、堀江真広(3年)、安藤光大(3年)、杉岡侑樹(2年)、FW宮本周征(2年)という11人でアウェー戦を戦った。 立ち上がり、「試合に入った時の切り替えっていう部分で、もうちょっと工夫できたのかなっていうのは思います」と砂押が振り返ったように、試合の入りに甘さのあった帝京から矢板中央が先制点を奪う。6分、縦パスで堀内がPAへ潜り込んで粘ると、PAでボールを回収した井内が中への動きから左足シュートを決めた。 リードを奪った矢板中央は、個々の技術力の高い帝京に対してオールプレス。堀内、加藤の2トップが相手の田所、畑中の2CBやGKまでプレッシャーを掛け、帝京の各選手がボールを引き出した際には矢板中央の選手が身体の触れるくらいの距離まで寄せ切っていた。そして、山村や永井がボールを引っ掛けると、田中、堀内がスペースへ飛び出すなど迫力のある攻撃。山村の左クロスが加藤へ通るシーンもあった。 これに対し、帝京は選手同士で話し合いながらボールの運び方を確認。ラビーニの左クロスを相手DF小倉にクリアされるなど攻め切るシーンが少なかったものの、24分に1チャンスをモノにした。砂押が左足でDF裏へ絶妙なロングパス。このパス1本で堀江が抜け出し、GKとの1対1から右足シュートを決めた。選手権予選準決勝同様、2人のホットラインによるゴール。鮮やかな一撃で同点に追いついた。 さらに帝京は、宮本の右足FKや安藤の左足ミドルで勝ち越し点を狙う。ただし、矢板中央はマークを外されても前へ行くことを止めない。ボールを奪いに行き続け、そこから切り替えの速い攻撃を繰り出した。32分には右サイドへ抜け出した加藤のラストパスから堀内が決定機を迎えるが、帝京GK尾崎がストップ。34分にも堀内が強引に右サイドを抜け出してラストパスへ持ち込んだが、井内のシュートはDFにブロックされた。すると、後半開始から加藤をFW朴大温(3年)へ交代。帝京もラビーニと安藤をDF吉澤頌裕(1年)とMF小林爽人(2年)へ交代した。 帝京は後半、「(マンツーマンで来た矢板中央に対し、)やっぱり相手を動かす動きっていうのを自分たちはしようっていう話をしていて、それで選手が囮になって、もう片方の選手が空いたり、トライアングル作ってできたっていうのはあったと思います」(砂押)。帝京は畑中と田所の両CBや砂押、加賀屋、杉岡とどこからでもドリブル、パスでボールを運べることが強みだ。後半は各選手が味方のために相手を動かすことを意識し、よりボールを保持しながら主導権を握ることに成功。また、後半から左SBに入った吉澤がピッチサイドの先輩から「アイツ、本当1年?」という声が出るほどの落ち着きと逆を取る巧さでボールを前進させていた。 そして、永野のクロスが杉岡へ入ったほか、宮本がドリブルシュートを打ち込む。対する矢板中央は7分にMF石塚遥真(3年)を投入。相手の裏抜けを“闘将”佐藤や小倉が阻止したほか、連動してプレスに行けなくなった際にはリトリートして対応するなど2点目を与えない。そして、奪ったボールを素早く前線へ入れてセットプレーを獲得し、外山のプレースキックや朴のロングスローでプレッシャーをかけた。 帝京は18分にFW大屋雅治(3年を投入。分厚い攻撃でゴールへ迫るシーンを増やしていたが、次の1点を矢板中央が奪った。後半35分、中盤で渡部がインターセプト。すぐさま、前方のスペースへスルーパスを入れる。抜け出した堀内のラストパスはゴール前で帝京DFがカット。だが、切り替え速く相手に寄せた堀内が奪い返し、そのまま右足シュートを左上へ決めて勝ち越した。 矢板中央はさらに田中のポスト直撃のヘッドや堀内、外山のシュートで畳み掛けようとする。だが、決め切ることができず、高橋健二監督も「3点目欲しかったですね、正直3点目取れれば、もうちょっと流れが変わったかなと思うけれど……」。対する帝京は40分に選手権予選決勝で決勝点のFW土屋裕豊(3年)を投入。すぐに土屋が左サイドを抜け出すが、ここは矢板中央GK藤間がゴールから大きく飛び出して対応する。 それでも、人数を掛けて攻め続けた帝京が1点をもぎ取った。後半45+2分、右CKのクリアを右中間で拾った吉澤がコントロールでDFと入れ替わると、さらにキックフェイントでマークを外して右足を振り抜く。このシュートがゴール前にこぼれ、宮本が右足で同点ゴール。2-2の引き分けに持ち込んだ。 選手権の組み合わせが決まり、帝京は開幕戦(12月28日)で京都の強豪・京都橘高と対戦することが決まり、矢板中央は2022年度大会優勝の岡山学芸館高と1回戦(12月29日)で戦うことが決まった。ともにここから厳しいトーナメント戦を勝ち抜くための準備。この日は、互いに中2日の疲労の色が見せる中での戦いだったが、持ち味も出し合って引き分けた。 帝京の砂押は「選手権に向かっていくにあたって、(今日のように)最後の最後で追いつくっていうのは大事だと思いますし、自分たちも最後まで諦めない姿勢っていうのは見せれたと思うので、あとは勝つだけかなと思います」と前向き。一方、プレミアリーグ昇格を目指す矢板中央にとっては痛い引き分けとなった。 試合後、主将の佐藤はチームメートを集めて厳しい言葉で檄。高橋監督は「課題もあるけど、1年間やってきてプリンスリーグ上位に食らいついてるんで、あと2試合しっかり勝って、選手権に繋げたいですね」と語った。互いに日本一を掲げる両校は、この日出た課題も改善しながら選手権へ向かう。