年収500万円の50代会社員です。このままだと定年時に住宅ローンが700万円ほど残ってしまいそうです。退職金をあてるべきですか?
Aさんは年収500万円で現在50代前半、妻は扶養内パート、長男は独立、長女は大学生です。長男・長女の学費が思っていたよりもかかってしまい、現在の住宅ローンの返済額が予想を下回り、定年時に700万円のローンが残る計算で、退職金をあてて全額返済しなければならないのか心配だとのこと。 定年までどのように返済していけばいいか、退職金を返済にあてるべきか、FPと一緒に考えてみましょう。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
退職金で繰り上げ返済するメリットとデメリット
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」の結果によると、世帯主が60歳代の住宅ローンの残高の平均値は733万円でした。 また、国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、初めて注文住宅を購入した人の平均年齢は39.5歳、注文住宅を建築した人の借入金の返済期間の平均年数は32.8年となっており、借り入れ当初の完済時期は70歳前後になる人が多いと考えられます。 多くの人が退職金で繰り上げ返済することを考えると思いますが、まずはメリットとデメリットを確認してみましょう。 <退職金で繰り上げ返済するメリット> ・毎月の返済負担がなくなる(減る) ・支払う予定だった利息が軽減される <退職金で繰り上げ返済するデメリット> ・手元資金が減る ・団体信用生命保険がなくなる 退職金で繰り上げ返済をすれば、毎月の返済負担はなくなりますが、当然ながらその分、手元資金は減ってしまいます。退職後は、退職金と年金が主な収入です。繰り上げ返済をしても老後の生活に支障が出ないかをしっかりと見極めることが不可欠です。
繰り上げ返済以外の対策
退職金での繰り上げ返済以外の対策を見てみましょう。 (1)家計の見直し Aさんは長男が独立したことで学費の負担はなくなっていますし、生活費も見直す余地があるのではないかと思います。保険や携帯電話のプランなども子どもの成長や独立のタイミングで見直すことをおすすめします。 (2)住宅ローンの借り換え 住宅ローン金利が上昇し始めていますが、条件によっては金利負担が軽減できる場合があります。一度金融機関に相談してみるといいでしょう。 (3)定年後も働く 再雇用や再就職によって収入を増やすことも検討しましょう。ただし、現役時代と同水準の給与収入を維持するのは難しい点は考慮しておきましょう。
まとめ
退職後も住宅ローンが残り、家計を圧迫してしまうのは困りますが、慌てて退職金で繰り上げ返済をし、手元資金がなくなってしまうのも問題です。今から少しずつでも対策をとり、残債を減らしていきましょう。 出典 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年) 国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査報告書 執筆者:宮野真弓 FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部