防衛省がイスラエル製攻撃用ドローンの導入検討 日本の「虐殺加担」指摘の声も
防衛省が検討するイスラエル製無人攻撃機の導入中止を求める市民団体の武器取引反対ネットワーク(NAJAT)は6月21日、衆議院第一議員会館で防衛省、外務省と交渉を行なった。候補機中、イスラエル製は5機で前回交渉時と同じだったが、新たにスペイン製とオーストラリア製がそれぞれ1機ずつ増え、全体で9機にのぼることが明らかになった。 交渉では、イスラエル製の候補機を選定する際、防衛省が国会に意見を求めなかったこともわかった。イスラエルのガザでの軍事作戦が大量虐殺に相当すると国際社会から非難を浴びる中で税金を投じて同国製の無人攻撃機を導入することは、日本が虐殺へ加担することになるとの指摘がある。 政府は2022年に改定された安全保障関連3文書の一つ「国家防衛戦略」で無人アセット防衛能力の抜本的強化を掲げた。これは軍事用無人航空機のことで、幅広い実践的な能力を獲得するため27年度までの導入を目指し、昨年度から136億円をかけて運用実証を開始。攻撃用には99億円を投じて7機の候補機を選んだが、その中にイスラエル製が5機含まれていることが、2月のNAJATなどと防衛省の交渉で明らかになった。 候補機となったイスラエル製の無人攻撃機はエルビット・システムズ製「スカイストライカー」(契約相手方、日本エヤークラフトサプライ)、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)製「ロテム・エル」(同、海外物産)、「ポイント・ブランク」(同、海外物産)、「ヘロン MKⅡ」(同、川崎重工業)、Uビジョン製「ヒーロー120」(同、住商エアロシステム)の5機種だ。 これらは爆弾を積んで相手を攻撃する能力を備えている。小型のロテム・エルの場合、重さ6キログラムと小型で、1・2キログラムの弾頭を積んで10キロメートル先の標的に攻撃が可能。イスラエル軍による実戦配備経験もある。防衛省は島嶼や重要施設などに侵攻された際の防護のために無人攻撃機を活用する計画だという。