防衛省がイスラエル製攻撃用ドローンの導入検討 日本の「虐殺加担」指摘の声も
防衛省が独断で導入決定
この日の交渉でNAJATが、従来の防衛用無人機から攻撃用無人機に転換した理由を尋ねると、防衛省は防衛力整備計画により導入を決めたと回答。イスラエル製を選定するうえで自民党国防部会などに意見を求めたかとの質問には「契約手続きに当たって国会議員に意見を求めた事実はない」と述べ、日本が国際的非難を浴びるかもしれない導入に際して独断で決めていたことを明らかにした。 今年3月、昨年度予算の残りで新たに2機種の候補機を選定したことも分かった。アルキミア製(スペイン)の「Qslam40」(契約相手方、双日エアロスペース)とディフェンドテックス製(オーストラリア)の「ドローン40」(同、丸紅エアロスペース)だ。23年度に契約を結んだ機種はすでに実証試験が終了し、5機種分の報告書が防衛省に納入されているという。 候補機の実証試験については、ガザ地区とヨルダン川西岸地区以外で行なわれているというが、実戦配備された地域についてはイスラエル軍が詳細を明らかにしていないことを理由に「確定的に回答できない」とした。無人攻撃機の選定をめぐっては一般競争入札で候補機を決めたが、イスラエル製の小型攻撃機2機種が1円で落札されるなど入札の公平性を疑われるようなことも起きている。 ガザで続くイスラエルの軍事作戦に関して、国連特別報告者は3月にジェノサイド(大量虐殺)に相当するとの見解を示し、5月には国際刑事裁判所が戦争犯罪の容疑でネタニヤフ首相らに逮捕状を請求。これを受けてスペインやコロンビアなどはイスラエルとの武器禁輸に踏み切っている。交渉に参加した立命館大学客員研究員の金城美幸氏(生存学)はこう話す。 「国際法上、重大犯罪となるジェノサイドの蓋然性があるイスラエルに日本の税金を支出すれば、日本も(ジェノサイドを)下支えすることになる。防衛省は法的にも倫理的にも政治的にも誤った議論をしている」
形山昌由・ジャーナリスト