東京実業 、対策がズバリ的中!格上の東海大高輪台を撃破
20校で争われる令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選2次トーナメントは5月26日、1回戦の残り4試合が行われた。 プリンスリーグ関東1部の帝京と同2部の國學院久我山、関東高校大会予選を制した大成と同準優勝の日大豊山は6月8日の準々決勝から登場。決勝に進んだ2校がインターハイ(7月27日~8月3日・福島県)の出場権を獲得する。 東京実業は東海大高輪台に1-0で競り勝ち、6月2日の2回戦で関東高校大会予選ベスト4の実践学園と対戦する。 東京実業はパスを出すテンポといい、動きだしのタイミングといい、とてもリズミカルだった。ボールへの出足の速さや厳しいプレスも効果的で、この時期にしてはチーム完成度の高さを感じさせた。 特長的なのが田中玲音、水品莉一(ともに3年)、加藤琉空(2年)という身長180センチを超える大型DFをそろえた3バックだ。クロスやロビングのボールをことごとく跳ね返し、1対1に強くカバーリングの連係もスムーズ。ボランチ江里口翔(3年)の投じるロングスローになると、この3人ともゴール前に居並ぶのだから、敵の守備陣は神経をすり減らすことになる。 東京実業は前半24分、MF新藤山登(3年)が真ん中から持ち込み絶好のシュートを打ったが、球に威力がなくGKに捕球された。38分には左ウイングバック脇村卓(2年)がスピード豊かに左を突破し、チャンスになりかけたものの相手DFのタックルに遭った。この1分後、MF廣畑亮介(2年)の蹴った左CKを身長184センチの加藤が遠いポストからヘディングシュート。惜しくも右へそれて先制機を逸した。 4月の関東高校大会予選1回戦で強豪の修徳を延長戦で負かした東海大高輪台は、序盤にビッグチャンスを迎えた。前半8分、相手CKのボールを奪って逆襲・速攻に転じると、MF水島健斗(3年)が右から運んで強烈なミドルシュートを放ったが、わずかにバーを越えていった。 1次予選トーナメントを9得点・無失点で勝ち抜いた東海大高輪台だが、この日は相手の激しいチェックもあって分厚い攻めにならなかった。左の廣恒龍と右の山本風雅(ともに3年)の2列目が、思ったように敵陣深くに進入できず、決定的な崩しのパス、崩しの展開はほとんど見られなかった。 後半も敵の頑強な守備網に穴を開けられず、21分に右CKからCB安田礼(2年)のヘッドがバーをかすめたくらいで、持てる攻撃力を発揮させてもらえなかった。 後半も東京実業のペースで進み、13分の田中のヘディングシュートは相手GKの好守に阻まれ、19分のFW塩澤陸斗(3年)の決定的な一打は左へ外れ、前半から続いた攻勢の時間帯に得点を奪えずにいた。 しかし21分だ。加藤がキッカー廣畑の左CKをニアサイドから頭で合わせた。ようやくゴールをこじ開けて決勝点をものにし、3分あったアディショナルタイムも乗り切って1-0で勝利した。 前半39分の左CKはファーサイドから打ったが、「廣畑のボールがニアに来るような予感がしたので、今度は近い所で合わせました。得意のヘッドで取れてうれしい」と攻守で八面六臂の活躍を見せた加藤は、公式戦での2点目に大喜びした。 リーグ戦は東京実業が4部で東海大高輪台が2部。主将のMF髙井哲平(3年)は、対策を講じた練習の成果が出たという。「映像を見てプレスの掛け方などを練習し、しっかり対応できました。カテゴリーでは格上の相手ですが、想定内の結果を出せて言葉に表せないくらいうれしい」と話すと、「リーグ2節(5月6日)で修徳Bに負けたのがきっかけでチームが変わりました」と危機感を持って臨んだことが、好結果を呼び込んだそうだ。 片山智裕総監督もスカウティングの成果を口にする。「相手は1次トーナメントと戦い方に変わりがなかった。全国大会に出るため、守りにも変化を付けて臨みました。前から行き過ぎないようにし、しっかりブロックをつくることを意識づけました」と説明する。 3年前に全員がサッカー部に所属するサッカークラスを設置し、今年3学年がそろった。片山総監督は「個性が強くてまとまりがあり、能力の高い選手が多いので期待できるチームなんです」と2回戦突破にも自信をみなぎらせた。 (文・写真=河野正)