日本製レジャーバイクの扉を開いたカブ系エンジン搭載車──モンキー&ゴリラとダックスの生い立ち【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.4】
ライバル勢のレジャーバイク
──1970~1980年代初頭のヤマハは、DTシリーズの縮小版と言うべき2スト単気筒トレール車のミニトレシリーズを展開。初期のFTのタイヤサイズは前後15インチだったものの、1972年以降のGTはF:15/R:14インチ。 もっともかつてのレジャーバイク市場を振り返れば、ヤマハにはミニトレシリーズやジッピイ、ボビー、ポッケ、フォーゲルなどが存在したし、スズキはバンバンやホッパー、エポ、マメタン、ミニタン、カワサキはKV75やAV50などを販売していた。とはいえ、それらの知名度がどのくらいか、復活を待ち望んでいる人がどのくらいいるのかと言うと、なかなか微妙なところだと思う。あえて言うなら、生産期間が長かったミニトレシリーズとバンバンには可能性がありそうだけれど、それでも前述したホンダ車ほどの人気を獲得するのは難しそうである。 ──スズキが1971年から発売を開始したバンバンシリーズの特徴は、前後とも同サイズの低圧バルーンタイヤ(50のサイズは5.40-10)。50/75/90ccモデルの2スト単気筒エンジンは、ビジネス車のK90をベースとしていた。 さて、前フリが長くなったが、当記事ではホンダ製レジャーバイクの黎明期を支えたモデルを中心にして、2023年夏の取材時にモビリティリゾートもてぎ内のホンダコレクションホールに展示されていた6台を紹介しよう。
モンキーZ100[1961]
1961年に登場したZ100は、ホンダ製レジャーバイクの原点にしてモンキーシリーズの第1号車。ただし当時の車名はモンキーではなく、モンキーオート、モンキーバイクなどと呼ばれていたため、Z100はあくまでもルーツという見方が昨今では一般的になっている。基本的には東京都日野市に存在した遊園地、多摩テックの遊具として開発されたものの、1962年末からは海外への輸出を開始。4ストOHV単気筒エンジンと自動遠心クラッチ+3段ミッションはスーパーカブC100がベースで、フレームは専用設計。前後タイヤは5インチで、サスペンションは装備しない。三角形の燃料タンクは樹脂製だ。