トマト株を揺らして害虫激減 宮城県で実証報告、装置商品化も
宮城県などでつくる研究チームは27日、トマトの株を振動させて害虫のコナジラミ類を防除する技術の実証成果を報告した。特殊な装置によって一定の条件で振動を与えることで、コナジラミ類の密度を5割以上抑えられたと説明。受粉を促す効果もあり、トマトの収量は1割以上向上したことも報告した。 同県名取市であった総合的病害虫・雑草管理(IPM)技術の普及研修会で報告した。 実証は、トマトを誘引する鉄製の棒がつながるパイプに、振動を発生させる装置を付けて行った。実証を担当する県農業・園芸総合研究所は、100ヘルツの周波数など一定の条件で振動を与えたところ、振動を与えなかった場合に比べ、コナジラミ類の成虫は71%、幼虫は55%減ったと説明。トマトの収量は17%増加し、食味への影響もなかったとした。県内の農業法人で実施した試験でも防除効果を確認できたとした。 振動を発生させる装置は、東北特殊鋼が「トマタブル」として商品化を目指していることも紹介された。まずは2025年に宮城県内で限定販売し、その後販売地域を拡大していく方針という。 振動を利用した防除の研究は、県や九州大学、農研機構などが協力して進めてきた。
日本農業新聞