アウティングされ摂食障害に...伝説のテニス選手の「レズビアン公表」までの苦悩
両親へのカミングアウト
ついに面と向かってカミングアウトするときが来た。これまで真実を隠していたせいで、とりわけ世界中で一番愛している相手に本当のことを話せなかったせいで、どれだけ苦しんできたかを正直に話さなくてはならない。 それまで私は用心に用心を重ねてきた。真実から目をそらし、感情を麻痺させてきた。自分のセクシュアリティを打ち明けるのは、人生最大のチャレンジ、何よりも長く避けてきた課題だった。 両親は金曜の夜にレンフルーに到着した。金曜の夜には、レジデントや元レジデント、その家族が自由に参加できるグループミーティングが開かれる。 全員の自己紹介が終わり、摂食障害によって健康や人間関係をそこねた経験を思い思いに話し合った。隣に座った父の体がこわばっているのがわかった。途中でこちらに体をかたむけ、私の耳もとでささやいた。 「なあシス、おまえはこの子たちとは違うだろう」 私は言った。 「同じなのよ。私はこの子たちとまったく同じなの」 父には伝わった。それ以降は100パーセント協力してくれた――胸がつぶれるような家族セラピーを受けたあとでも。しかし母は困惑するばかりだった。すべての責任を自分が引き受けようとして、何度もこう言った。 「私はどこで間違ってしまったの?」 「お母さんは何も間違ってなんかいない。昔もいまも最高の母親よ」 私は母に言った。土曜の午後の苦しいセッションのあと、廊下を私と並んで歩きながら、父はこう言った。 「母さんに少し時間をやってくれ。きっとわかってくれる。ちょっと時間が必要なだけさ」 私は心の底からほっとした。私たち全員に大きな変化が起きようとしている兆しだった。個別のセラピーで、それまで誰からもされたことのない重要な指摘をリンからされて、私は言葉を失った。 「あなたはすべての力をご両親に引き渡してしまっていますね。自分で気づいていましたか。ご両親の気持ちばかり優先していることを自分ではどう思いますか。いつ自分の力を取り戻すつもりですか」 リンの言うとおりだ。これこそが転換点だと直感した。何を変えなくてはならないか、ようやくわかった。