来年60周年 ニッポン放送「テレフォン人生相談」に心を解き放たれ 全方位ch
来年、60周年を迎えるニッポン放送のラジオ「テレフォン人生相談」のファンである。電話で寄せられた悩みに各界の専門家が相談に応じる、昭和40年1月から続く長寿番組だ。 離婚も辞さないほど本気になった不倫相手に心変わりされ、傷ついた心を持てあます40代の男性。娘婿のタトゥーを注意したところ、娘家族と絶縁状態になった60代の女性。受験勉強に身が入らず、ネットカフェにのめり込んでしまう自分に活を入れてほしい10代の予備校生…。老若男女の実にさまざまな苦悩が寄せられるのだ。 パーソナリティーは心理学者の加藤諦三さん、医師で登山家の今井通子さん、俳優の柴田理恵さんらそうそうたる顔ぶれ。回答者は幼児教育研究者の大原敬子さん、エッセイストのマドモアゼル・愛さん、作家で翻訳家の三石由起子さんのほか、精神科医や弁護士らで構成され、その含蓄あるアドバイスには、うならされることが多く人生勉強になる。 忘れられない回がある。50代の父親から寄せられた切実な悩みだ。悪性の脳腫瘍を患う20代の長男に、医師から宣告された余命を告知すべきかどうか…。長男は明るく前向きな性格で、この病気が良くなると信じている。また、そんな長男が比較的元気な今のうちに、家族旅行に連れ出して思い出を作ってあげたいとも話していた。 回答者はマドモアゼル・愛さん。長男本人が前向きな現在は、告知よりも、「人生の喜び、生きたという手応え、生まれてきてよかったという実感」を彼に持ってもらえるよう、家族が一丸となって彼を支え、その人生を分かち合ってほしいとアドバイス。これほどまでにつらく、苦しいことが起きたということは、家族にとり生きるという意味、人生について、真剣に考える時期だとも。その言葉は胸を打った。 番組では毎週火、水曜に電話で悩み相談を受け付け、その全てに回答者が応じているという。そして、放送されるのはほんの一部だそうだ。昭和、平成、令和と長きにわたって回答者、パーソナリティーを務める加藤さんによれば、時代は変わっても人の悩みの本質は変わらないという。 悩んでいるのは自分だけではない。そんなカタルシスが、この番組の魅力といえるだろう。(由)
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