採用カメラが続かず消えたデジカメ向け光磁気ディスク「iD PHOTO」(730MB、2001年頃~):ロストメモリーズ File032
MDの特徴を色濃く受け継ぐカートリッジの仕組み
カートリッジサイズは59.5×56.5×4.8mmで、小型の光磁気ディスクとなるMD(72×68×5mm)よりも小さくなっています。フラッシュメモリーを採用するコンパクトフラッシュ(42.8×36.4×3.3mm)よりはだいぶ大きいですが、標準価格で1枚3500円という安さと、730MBという容量を考えれば、十分競争できるものです。 アクセスウィンドウを保護するシャッターが右にあるというのは、MDと同じ。挿入方向となる上面が緩やかに丸められていて、これがiD PHOTO特有のシルエットとなっています。 ちなみに、中央左にある四角いスペースは、ラベルシールの貼り付け位置。ラベルシールはここだけでなく、下面にも細長いものが用意されています。このあたりも、MDっぽさがありますね。 裏面を見ると、シャッターが中央のクランピングプレート部まで覆われていることが分かります。これはゴミやホコリの侵入を極力阻むためで、3.5インチMOやMD DATA(音楽用MDは覆われていません)などと同じです。 ただし、シャッター端を押さえるガイドがないのが大きな違い。サイズが小さい分シャッターが浮きづらく、ガイドなしでも十分密閉できるということなのでしょう。 また、カートリッジの組み立てがネジ止めとなっているあたりは、3.5インチMOっぽさがあります。
裏面の右下に見える窓の赤色は、書き込み許可となるもの。設定は表面から行い、上へスライドさせると書き込み禁止となります。このとき、裏面からは赤色がなくなって貫通穴となるため、表裏のどちらからでも書き込み禁止状況が確認できます。 ちなみに、下面にも小さな穴があって、ここからも書き込み禁止状況を確認できます。スライドさせる位置が異なりますが、3面から確認できるというのはMDと同じです。 シャッターは簡単に開かないよう、ロック機構を装備。この点はMDと同じですが、シャッターにバネが入れられており、自動で閉まるようになっている点が異なります。 単純に考えれば、ドライブ側にシャッターを閉める機構を作りさえすれば、バネが不要となるぶんカートリッジのコストが下がります。それでもバネを入れたということは、ドライブ側のコスト増を気にしたのでしょうか。MOやMDドライブの製造経験があるはずのオリンパスと三洋電機の判断ですから、その可能性が高そうです。 ディスクの回転制御は、ZCLVを採用。具体的にはディスク面を12の領域に分け、外周から内周へと向かうごとに、回転速度を1900rpmから3100rpmまで段階的に上昇させています。これにより、線速度が約5m/sで固定され、20Mbpsを越えるデータ転送レートを維持しているわけです。
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