「終活は老いの入り口や死への準備ではない」 FPが教える「五つの欲求を叶える」終活
よりよい後半生のために、考えておきたい「終活」。何から始めればいいか。どのようなことを意識すればいいか。『終活1年目の教科書』の著書もあるCFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士の黒田尚子さんに聞いた。AERA 2024年12月23日号より。 【チェックリスト】「幸せな人生を送るための終活チェックリスト」はこちら * * * 仕事を続け適切なサービスを受けても、いつかは最期を迎えることになる。その時に備えて終活も考えておきたい。『終活1年目の教科書』の著書もあるCFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士の黒田尚子さんに聞いた。 「終活は『幸せな人生に気づける』ためで、自分のためのものです」 黒田さんは40歳の時、がん告知を受け生存率50%と宣告された。これまでの人生を振り返って、「いい人生だったのか」「いい人生とは何か」を考えた。そこでいい人生を全うするためにと終活を始めた。つまり「死」を考えるのではなく、「生」を感じるのが終活なのだ。終活を始めるきっかけは定年を迎えた、病気になった、身近な人が亡くなったなどがあるが、何歳でも思い立ったが吉日だとも。では何から始めればよいかを聞くと以下のように話した。 「まず、財産管理を含めてお金に関することが一番なので、そこから整理していくことです。その上で『生きててよかったを味わいたい』『やりたいことを全部やりきりたい』『絆を感じたい』『人から認められたい』『心配事をなくしたい』の五つの欲求を叶えることで、充実した人生を送る終活になるのです」 まず「生きててよかったを味わいたい」は片付けをしながら楽しかったり幸せを感じたりした瞬間を思い出すことだ。写真の整理はまさに「生きててよかった」を味わえる。遺影にも使える自分自身のベストショットを撮ってもらうのも重要だと話す。 「私は仕事で写真を撮ってもらうことが多いのですが、それは仕事の顔になっています。でも、家族に撮ってもらった写真は表情が柔らかく、いつもの私になっていました」と微笑む。 「『やりたいことを全部やりきりたい』とは言葉通りです。これまでやりたくてもがまんしたことがあるはずです。それをできるだけすることです」