山本由伸「めっちゃデカい人にも負ける気はしない」 投球術を聞かれて語気を強めた瞬間
日本を代表するピッチャーに
ではなぜ、オリックスは指名できたのか。強く推し続けた山口が説明する。 「骨格です。177cm(高校当時)はプロのピッチャーの中では平均より少し低いくらいの身長だと思うけれど、骨格がしっかりしていたので、身長に関してはあまり気にしていなかったです」 骨格はいわば、体の支柱だ。骨の周りに筋肉は発達していく。体の中にしっかりした土台があれば、バランスよく成長していけるはずだと山口は見通した。 「最終的には球団の看板を背負える選手になるのはもちろん、日の丸を背負って日本を代表するピッチャーになってもらいたい」 山口は最初の指名あいさつに訪れた際、最大の表現で期待を表した。オリックスのユニフォームに袖を通した山本は入団1年目に1軍デビューを飾り、球団の育成計画をはるかに上回るスピードで応えていく。 もともと備えた「メイクアップ」と「骨格」という才能が飛躍の土台になった一方、球団にとって思いもよらない出会いが山本を大きく変えることになった。(敬称略) *** 彼の才能を見いだしたスカウトの視点、さらに大きな飛躍のきっかけとなった出会いについては次回記事(“新人”山本由伸のフォームチェンジに立ち会い「おお」と思わず口にした日本人大打者)でお伝えする。
中島大輔:1979年埼玉県生まれ。上智大学卒。スポーツ・ノンフィクション作家。著書『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に『野球消滅』『プロ野球 FA宣言の闇』など。プロからアマチュアまで野球界を広く取材している。 デイリー新潮編集部
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